小さなころに読んだ絵本「ちびくろサンボ」では、結末にホットケーキが出来上がります。 ストーリーは忘れてしまったものの、あのホットケーキは未だ記憶に鮮明です。 ホットケーキとは、子供たちの憧れではないでしょうか。それは、どうしてか。 そんなことを考えながら、今回はホットケーキに挑みます。 前回の目玉焼きに続いて、焼く調理の基本を習得いただきます。 そして、ホットケーキの色合いと香りとともに、子供の頃に戻っていただければと思います。
さて、事始として紹介していますが、実践されている方は、ほんの一握りでしょう。 ただ、読んで終わってしまえば、お料理に関しては、全く身に付きません。 お料理には必ず実践が伴います。そして、実践の繰り返しが必要です。 そのプロセスを経て、美味しさに至ります。 そこで、今回は、手軽に実践できるホットケーキを取り上げてみますので、 読むだけで終わらせず、よい機会とされて下さい。 まず、やってみる。あらゆる分野に通じることかもしれませんが、お料理こそ然りです。 そのために、いつするか、日時を決めてしまうと良いでしょう。 そうなると、決断すること、覚悟することが必要だと分かります。 改めて、ホットケーキを焼くことを決断されて下さい。 その時、決断を後押ししてくれるのが、道具の買物だと思います。 販売店が言うのも中立公正ではないかもしれませんが、 販売店だからこそ、その意義が分かることも確かだと思います。 まず、道具を購入する。そこにも、覚悟があるのだと感じます。 お金を出すことは、痛みを伴うものです。 やはり、痛みを伴ってこそ、退路を断つことになります。 もはや、逃げることはできません。前に進むのみです。 買物するとは、そのようなことではないでしょうか。 であれば、販売店もそのような覚悟をもたれた方に、きちんと答えることができる。 そのような販売が求められているのだと思います。
今回フライパンは、 極JAPAN厚板フライパン26pをおすすめします。 その他の道具としては、ボウルと計量カップ、泡立て・レードル・ターナーを用意しておくと良いでしょう。 そこで、チェーリーテラスのオールラウンド ボウルズ フルセットであれば、ガラスボウルが相応しいでしょう。 また、単品での購入でしたら、以下のイワキ ガラスボウル1.5Lをおすすめします。 厚手で割れにくく、汚れも落としやすい素材と形状で衛生的です。 ボウルとしては、ロングセラー品であり、まず揃えておくと何かと便利な品です。 そして、計量カップは、 クックパル・スマートメジャーカップ200ccをおすすめしていますが、 場所をとらない以下のイワキ メジャーカップ200ccもおすすめできます。 ツール類は、業務用で使われて来た丈夫なものをおすすめいたします。 泡立ては、ホテイ印の泡立て9号です。 泡立て部分の線は7本あり、泡立ちが良くなっています。 ハードな使い方にも耐えられるように線の取付部には、樹脂を使用して柔軟性を持たせた構造となっています。 柄の接合部分は、密閉組立てになっており、水も内部に入りづらく衛生的です。 柄は八角形で握りやすくなっています。 一般家庭用では9号サイズが相応しいと思います。 レードルは、マルタマ横口レードル50ccです。 生地を流し込むのに安定感があります。 このサイズでホットケーキミックス1袋(150g)の場合、直径約10cmのケーキが4枚焼けます。 ターナーは、マルタマ ステンレスターナー大が フライパンと食材の間にしっかりと入り込み気持ち良く取り出せます。 今回は、以下のような極ルーツ ホットケーキスターター6点セットを組んでみました。
これらに加えて、参考品としては、こちらのようなタニタ丸洗いタイマーが常備されていると良いでしょう。携帯電話ではなく、濡れた手で操作しても良い丈夫な専用機があると、長い目では良い習慣が定着すると思います。 また、生地を隅々まで取り出すには、kanキッチンヘラ小があると便利です。加えて、ふっくらと仕上げる上では、極ルーツ厚板フライパン26pに対応した ステンレスドーム26pをおすすめいたします。 そして、食材は、ホットケーキミックス、牛乳、卵そして、バターとメープルシロップあるいは蜂蜜です。 これらの道具と食材を揃えることから、料理ははじまるとも言えるでしょう。 買物こそ、お料理における踏み出す一歩です。
イワキ ガラスボウル1.5Lは重すぎず軽すぎず扱いやすいです。
イワキ メジャーカップ200ccも扱いやすく、ミルクポットにも相応しいです。
ホテイ印 泡立て9号は職人に愛されて来た確かな品です。
今回は、極JAPANホットケーキスターター6点セットを組んでみました。 極JAPAN厚板フライパン26p、イワキ ガラスボール1.5L、イワキ メジャーカップ200cc、 ホテイ印 泡立て9号、マルタマターナー大、マルタマ横口レードル50ccです。 ホットケーキだけではなく、お料理全般にも使用できる基本の道具でもあります。
まずは、生地作りです。 ホットケーキミックスであれば、パッケージに掲載されている分量などを参考にされると良いでしょう。 卵と牛乳を溶いた後に、適量のホットケーキミックスを入れて、泡立てで軽く混ぜ合わせます。 なお、ホットケーキミックスとは、小麦粉に砂糖、ベーキングパウダー(膨らし粉)等がミックスされているものです。 フライパンの方は、中火で1分30秒から2分程度しっかり予熱します。 フライパンの底面全体を180度にするのが目標です。 そのため、油返しをして、油を通じてフライパン底面全体を均一な温度にします。 それでも、しっかり予熱すると、180度以上になる箇所もありますので、 コンロから一旦外して濡れ布巾に載せると良いでしょう。 粗熱をとるとも表現されますが、これは私なりに、温度を均一にすることと解釈しています。 厚板のフライパンであれば、予熱以降は、弱火で十分180度を維持できます。 消えそうな火である、トロ火でも良いかもしれません。 焼くことの基本とは、よく予熱したら、弱火で熱を伝えることとなります。 言い換えれば、焼くとは、終始180度の熱を伝えて行くことです。 その時、フライパンが厚板であれば、しっかりと熱を蓄えて、弱火で180度を維持できるメリットがあります。 フライパンの板厚が薄くなると、熱量が不足して、火力を強くする必要が出て来ます。 ところが、火力を強くすると、局所だけ(炎の当たる箇所や発熱する箇所)が 180度以上の高温化になりやすく、焦げ付かせてしまいやすいのです。 厚板のフライパンは、局所だけでなく、全体を均一な温度にすることができるとも言えるでしょう。 フライパン底面に温度むらが生じれば、ある所は良く焼けて、ある所は生焼けという状態が生じます。 すると、すべて焼けた時には、ある所はすでに黒焦げとなる結果を招きます。
ボウルで卵と牛乳を溶いたら、ホットケーキミックスを入れて泡立てで軽くまぜます。
フライパンの予熱が完了したら、少し高いところからレードルで生地を一気に落とします。
さて、ここでポイントなのですが、油返しでしっかりと油を返していただき、 さらに、油をキッチンペーパー等でしっかりと拭き取って下さい。 ホットケーキの場合は、油がべっとりと付着していると、焼き目がまだら状のぼんやりとした色合いとなってしまいます。 油はごく薄く塗布された状態がベストであり、同じフライパンで2枚目以降を焼く場合は、 キッチンペーパーで拭く程度で十分です。油は薄く薄くを意識して下さい。 なお、油は、よい香りを引き立てること、フライパンの温度を均一にすること、 こびりつきを回避すること等の要素もありますので、利用する必要はあります。 フライパンの予熱が完了したら、生地をレードルから落とします。 少し高いところ(フライパンから約30cmほど)からフライパンの中心に向けて 一気に落として行きます。すると、綺麗な円を描きます。 何回かに分けずに、レードル一杯分を一気に落とすことで、綺麗な焼き目が付きます。 何回かに分けると、時間差が生じてしまうため、同じ色の焼き目が付きません。 こちらは少々熟練が必要なことかもしれません。 火にかける時間は、終始弱火で3分を目安にしてみて下さい。 少し返して焼き目を見て、お好みで焼き時間を調整します。 あるいは、鼻をホットケーキに近づけて、こんがりとした良い香りが漂って来たら返し時でもあります。 この香りが大きな手掛かりとなります。 なお、焦げくさい臭いを感じたら、時すでに遅しです。次回にこの教訓を生かしましょう。 まずは、同じ火加減のもとで、ベストな時間をつかむ努力をして下さい。 その時間がつかめたら、今度からはタイマーをセットするだけとなります。 これぞ、お料理の科学たるゆえんであり、同じ量を同じ火加減で同じ時間調理すれば、 見事に同じ結果を再現できるのです。 ですから、目を開き、鼻をきかせて、火にかける時間を見つけることが重要です。
予熱後の火加減は終始弱火です。色合いと香りを手掛かりにベストな焼き時間を探し出します。
ターナーで裏返して、反対側を焼きます。こちらは2分程度を目安として下さい。 こちらの焼き加減もお好みですが、タイマーをセットするなど 焼き過ぎで黒焦げさせないように気を付けて下さい。 この時、蓋をすると、蒸す過程をへることになり、ふっくらと仕上がります。 できれば、フラットな蓋よりも、ドーム型の蒸気が鍋内で対流するようなタイプがより相応しいでしょう。 オーブン庫内のようにホットケーキ全体にむらなく熱を伝えることができます。 最後に、ターナーで取り出して、お皿に載せます。 続いて、2枚目を焼きます。先ほど使用したキッチンペーパーで周りに残っている油を 吸わせながら、全体にごく薄く油を敷きます。新たに油を使う必要はありません。 おさらいですが、油はごくごく薄くを心がけて下さい。 フライパンが火にかかっている状態であれば、予熱は不要で、そのまま同じように焼いて行きます。 1回目の時間を参考にしながら、ベストタイムを試行錯誤でみつけます。 すでにベストタイムを見つけたら、タイマーをセットしてその時間だけ焼きます。 2枚出来たら重ねて、その上にブロック状のバターを載せます。 出来たての上に載せると、バターも溶けやすく、食べる時にちょうど全体に広げやすい状態になります。 そして、メープルシロップあるいは蜂蜜を廻しかけたら出来上がりです。 フォークとナイフがあれば、ベストですね。 ナイフは、ホットケーキを切るだけではなく、バターやメープルシロップ等を広げるためにも用います。 たっぷりバターが美味しさを一段と高めてくれます。 個人的には、ナイフとフォークも美味しさを演出してくれる大きな要素だと思います。 ラッキーウッドの ロマンスや マリールなど取り揃えておくと良いでしょう。 ホットケーキの魅力は、こんがりとしたキツネ色の色合いだと思います。 そして、こんがりとした香りです。 その色合いと香りにより、キッチンとダイニングには、美味しい空気が漂います。 その空間は、家族の嬉しそうな顔がお似合いです。
いつしか、あの色合いと香りが遠い思い出となっていないでしょうか。 絵本「ちびくろサンボ」は数年前に人種差別だと問題視されました。 しかし、最後に出来上がるホットケーキには、人種差別を越えて、美味しいところには平和があるというメッセージにも思えます。 大人の視点を越えて、焼き立てのホットケーキのあるところ、そこには人と人とが許し合える温かな世界がある。 きっと子供たちは、そんな世界を敏感に感じとっていたのでしょう。 もしかしたら、今日も一枚のホットケーキが人と人との関係を正してくれるのかもしれません。 そこにこそ、お料理の奥深さが秘められます。子供のころを思い出しながら、今度は子供たちのために。 そして、家庭の平和のために。さらに、世界の平和のために。それが男子の本懐です。
男の料理事始 まえがき
男の料理事始 第1回ご飯を炊く
男の料理事始 第2回味噌汁を作る
男の料理事始 第3回目玉焼きを焼く
男の料理事始 第4回ホットケーキを焼く