実店舗の棚に並ぶお鍋の中で、ひときわ存在感を示してくれるのは銅鍋です。 また、日ごとに銅の色合いは変化して、置いておくだけで渋みを増して参ります。 これがキッチンにあることで、かなり大きな存在感を放ってくれるものと想像できます。 職人によって、一つ一つ打ち込まれた槌目模様は、手作り感を漂わせ、 料理の作り手に作る意欲を与えてくれることでしょう。
新・加熱講座シリーズを通じて、改めて美味しくなる加熱および道具に関して考察を深めていますが、 美味しく加熱ができる道具とは、熱伝導性と蓄熱性の両面で優れていることと言えます。 そこで、理想的な素材の一つは、厚手の銅となります。 欧米では、その素材が好まれているのは合理的と言えますが、日本ではまだまだ銅の良さがうまく伝わっていません。
改めて、銅の熱伝導性の良さは、こちらのページよりご確認下さい。 また、安全面でも問題はありませんが、その点は、 こちらのページにまとめてあります。 大切なのは、他の道具と同じですが、お手入れをして頂くことです。 銅の色合いは空気に触れて、渋みを増して参ります。 それが銅の良さでもありますが、その色合いの変化もお楽しみ頂ければと思います。
東京足立区の中村銅器製作所で作られる特徴の一つは、打ち出した槌目の美しさです。
もう一つの特徴は、内面全体が丁寧にスズ引きされていることです。
代表の中村恵一さんが、スズ引きしている現場を訪問時に撮影させて頂きました。
日常のお手入れは、台所用洗剤とスポンジで汚れを落として頂きます。 焦げ付かせた場合は、内面はスズ引きされていますので、無理に磨いて落とそうとせず、 お水を入れて煮沸させて、焦げ付きを柔らかくしてから落として下さい。 その後、よく拭き取ると良いです。 そのまま調理物を入れたままにしないように気を付けて下さい。
なお、内面は、なぜスズ引きされているのか。 それは、銅の金属臭をおさえるためです。十円玉の臭いと言えば良いでしょうか。 スズ引きされていることで、臭いに影響されません。それは、美味しさにもつながります。 もちろん、銅錆びの緑青対策でもあり、銅の変色をおさえることでもありますので、 スズ引きされていれば見た目にも安心なのです。
ハンドルは、銅と亜鉛の合金である黄銅(しんちゅう)製で、本体との色合いのバランスもとれています。
蓋は重みもあり、裏側は本体同様でスズ引きされています。シンプルな作りでお手入れも楽です。
外側は、そのままの状態でも良いのですが、市販の銅磨き等を布に含ませて磨いていただくことで 光沢ある状態になります。 万が一、緑色の錆が生じてしまった場合は、ナイロンたわしにクレンザーを含ませて磨いて頂くことで落とせます。 ただ、宝飾品ではなく、あくまでお鍋ですから、ピカピカに磨く必要はないと思います。 その点では、基本的に、お手入れもそれほど大変なものではありませんので、 年数を経て変化する色合いを楽しむという気構えが大切かもしれません。
蓋の表側にも、ぐるりと槌目模様が入っています。
人目に触れない本体底面にも、丁寧に打ち出された槌目模様が入っています。
ここ最近では、ルークルーゼやストウブ等の鋳物琺瑯鍋が一般家庭でも普及して参りましたが、 これらのお鍋は、台所においておくだけで存在感があります。 その時、銅鍋は、それと同等あるいは、それ以上の存在感があるように思います。 しかも、まだまだ普及していないがゆえに稀少価値も高く、いかにもお料理が美味しく見えてしまいます。 見えるだけではなく、鋳物琺瑯鍋より加熱の面では合理的であり美味しく調理ができます。
中村銅器製作所 打出片手鍋18cm
中村銅器製作所 打出片手鍋21cm
中村銅器製作所 打出半寸胴鍋21cm(寸胴鍋より深さがやや浅くなります。)
中村銅器製作所 打出寸胴鍋21cm
当社の扱う商品の中では、ひときわ高額ですが、工場でできる量産品ではなく、 職人の手間がひときわかかっている証でもあります。 そのため、個々に打ち出しの深みや形状など違って参りますので、世界でたった一つの個性豊かなお鍋とも言えます。 そんなお鍋で育つ子供たちも、同じく個性豊かに育っていくのかもしれません。 なお、こちらのお品は、基本的に色合いの美しい新品をお届けいたします。
専用箱などのパッケージはない職人気質の商品となりますが、 ハンドルやつまみをつかむ時に安心な仔犬印オーブンミトン、 FRドビー織り布巾をお役立て下さい。 また、実店舗には、味わいのあるお鍋となった展示品がございますので、一度手に触れてみて下さい。 新品とは違った銅の渋みが醸し出されています。