まずは、熱と温度の関係を
前回講座より整理して下さい。
その前提で、熱量=物体の比熱×物体の質量×物体の温度。
ここでの物体とは、フライパンを想定します。
フライパンでは、表面全体がむらなく160〜180度の状態で食材を加熱していくことを理想とします。
表面全体という点では、早くむらなく温めることが必要で、その指標となるのが熱伝導率です。
加えて、160〜180度の状態という点では、その温度を保持できることが必要で、その指標となるのが熱容量となります。
熱伝導率とは、熱の伝わりやすさの指標で、この率が高ければ、早くむらなく熱を伝えることができます。
ガラスや陶器に比べて、金属は大変優れています。
素材ごとに固有の値があります。
高い順に、銅【398W/(m・K)】、アルミ【237】、鉄【80】、ステンレス【27】、
耐熱ガラス【1.1】、陶器【1.0〜1.6】となります。
厚さ1mある物質の下面から上面に温度差が1Kある時に、1平方mの面積を1秒間に流れる熱量です。
しかし、温まりやすいものは、冷めやすい。
もう一つの指標である熱容量が冷めにくさとなります。
熱容量=物体の比熱×物体の質量です。
比熱とは、温度変化のしにくさを示す値で、
1g当たりの物質の温度を1K(または1℃)上げるために必要な熱量となります。
こちらも素材ごとに固有の値があります。
その値が大きいと、温まりにくく冷めにくい。
大きい順に、陶器【1.0KJ/(kg・K)以上】、アルミニウム【0.91】、耐熱ガラス【0.73】、
ステンレス【0.46】、鉄【0.44】、銅【0.39】となります。
極JAPAN厚板フライパンは、熱伝導率と熱容量の両面でバランスのとれたフライパンです。
熱容量は、この比熱に質量を掛け合わせたものですから、質量も考慮します。
この重さは、フライパンの場合は、板厚すなわち厚みと関連します。
厚手のものほど熱容量は大きくなり、冷めにくくなります。
その結果として、温度制御がしやすくなり、一旦予熱して適温に至れば、その後は弱火で適温を維持できます。
ですから、熱伝導率だけでは片手落ちで、熱容量もそこそこにバランスのとれたフライパンが求められます。