ここで熱と温度の関係を整理します。 熱は、エネルギーと考えて、温度を上げる元となるものです。
その度合いを表すのが熱量で、単位には、cal(カロリー)やJ(ジュール)を使います。 1gの水を1度あげるのに必要な熱量を1calと定めています。
また、1cal=4.184Jとなります。 そして、温度は、人間が熱い冷たいと感じる度合を数値化したものです。
具体的には、物質を構成する分子運動の度合を表しています。 温度があるとは、分子が運動しているのです。
そこで、ガスコンロの場合、ガス消費量3000cal/時間とあれば、1時間で3000calを消費することになります。
これをW(ワット)に換算できます。 1kcal/時間=1000cal/時間=1.16Wですから、3480Wとなります。
すなわち、1時間当たりに換算したエネルギー量です。電磁調理器(IH)ですと、消費電力となり同じくWで表記します。
しかし、コンロは、単にワット数が大きければ良いのではなく、温度制御ができるために細かい火力調整ができることが大切です。
そして、フライパンに求められるのは、160〜180度の温度制御ができることです。
その温度に達したら維持できること。その指標が、温度変化のしにくさを示す値である熱容量となります。
計算式では、熱容量=比熱×質量です。質量は、ここでは単純に重さと考えます。
比熱は素材ごとに固有の値があります。この比熱が大きいほど、そして重いほど、温度変化がしにくくなると言えます。
その点では、冒頭でご紹介した厚板の鉄素材は、優れていることとなります。
極JAPANフライパン(板厚1.6mm)と極JAPAN厚板フライパン(板厚3.2mm)
加えて、早くむらなく熱が伝わることも大切です。そこで、熱の伝わりやすさの指標である熱伝導率があります。
この率が高ければ、早くむらなく熱を伝えることができます。しかし、熱が伝わりやすいとは、冷めやすいとも言えます。
上記の熱容量と熱伝導率の両面で優れていること、加えて重いと扱いづらくなりますので、バランスをとることが必要です。
理想的な加熱と扱いやすさを総合的に考えて、フライパンは誕生して来たとも言えます。