一人暮らしの道具をこちらのページでご提案しましたが、 その時は、電気炊飯器でご飯を炊くことを前提としました。 しかし、当店としては、お鍋で炊飯することをおすすめしたい気持ちが強くありました。 それは、お鍋で炊飯することを通じて、お料理の基本が身に付くからです。 只今「加熱講座」をご紹介していますが、お料理の基本は加熱にあります。 この加熱を理解できれば、お料理が美味しく楽しくなります。 その時、歴史をひもとくと、日本人が最初に加熱したものは何であったのか。 それが、お米でした。日本人はお米を収穫して、そのお米を加熱してきた。 すなわち、ご飯を炊くことを通じて、加熱を学んできたのです。 そして、それを他の食材にも応用する。 私たちの祖先は、ご飯を炊くことから、お料理を習得してきたのだと思います。
ところが、この時代、電気炊飯器の登場によって、状況が変わってしまったようです。 この加熱の基本を身に付けないまま、自己の感性のみでお料理にのぞんでしまっている。 便利なものが溢れるているために、何もしなくても、何も考えなくても、美味しいものができると誤解してしまいやすい。 お料理においては、まさに五感停止、思考停止。 その結果、感謝も慎みも希薄で、お料理が退廃していくようです。 お料理は、加熱を通じて、五感を駆使して、頭を働かせ、そして心を込めて作り上げるものだと思います。 その点では、便利なこの時代は、人間までが退廃していくようにも感じます。 そこで、まず、ご飯をお鍋で炊くことによって、お料理の基本である加熱を学んでみる。 それをきっかとけして、お料理が広がって行きます。 味噌汁、たまご焼き、焼き魚・・・と新たなものに挑戦する意欲も湧くてくるのでしょう。 どれも、基本は加熱にあります。
その時、お鍋で炊飯することは、決して難しいものでありません。 お米を前にして他に食べるものがなく、ご飯を炊かなければならない状況があれば、 必然と出来てしまうもののように思います。 人間の本能にも直結している。 人間には、何のために五感や頭脳、そして心が与えられているのか。 それは、お料理をするためではないでしょうか。 ですから、お料理をすることで、生きている実感や充実感、喜びや幸せを感じられる。 人間が人間となれるとも言えるでしょう。 その意味では、どんな人でも、意欲さえあれば、お料理はできるようになっていると思います。 お料理することは、生きることそのものであり、恵みに溢れているものとも言えます。 もちろん、その過程で失敗もあるかもしれませんが、あきらめずに再度挑んで行けば、やがて美味しさに至ります。 それは、必然です。最終的には、意欲の問題だと思います。
その時には、やはり道具を選びます。 基本的には、しっかりと熱を溜めこむ厚手のお鍋が相応しいです。 そうなると、必然と重くなってしまうのですが、重宝な素材があります。 それが、アルミ鋳物です。 この素材は、厚みがあっても、軽いという特徴があり、やはり調理道具には相応しい。 まず、フライパン倶楽部としては、アルミの文化鍋をおすすめします。 美味しく炊けると評判が良く、軽くて扱いやすい。 そして、吹きこぼれの対策として、蓋が中に入り込むようになっています。その点でも便利です。 今回一人暮らしを想定しますと、1〜2合までを炊くことが多いことでしょう。その点でサイズは、16cmのものがおすすめです。なお、IH(電磁調理器)には対応していません。 IH(電磁調理器)の方は、ライスポット2合をおすすめいたします。
炊飯したら、基本的には食べきっていただきます。 たとえ、電気炊飯器でも、少しだけ残したご飯を保温することは、不味くなってしまいます。 なお、電子レンジがあれば、余ったご飯は、お茶碗1杯づつに分けて冷凍保存しておくと良いでしょう。 その時に、ラップに包んだり、パイレックスのパックぼうる400ml(1人分ごはん用)等が あると便利です。急にご飯が必要な時は、この冷凍ご飯を電子レンジで解凍していただけます。 チャーハン等には、このご飯が好都合です。 補足して、炊き終わったら、ベストはおひつに移し替えることです。 おひつ素材の木が、ほどよく水分を吸収してくれるので、より美味しく感じられます。 移し替えることにより、余分な蒸気を逃すこともできます。 このようにお鍋でご飯が炊けることは、お料理の基本を習得でき、 そこからお料理が広がって参ります。 便利な時代こそ、この基本を見直す時だと思います。
震災直後にご提案しました「自分で炊飯しよう」も参照下さい。