本物の出汁は、昆布や鰹節、あるいは煮干で煮出すことで生まれて来ます。
まずは、昆布です。昆布の目安量は、水1Lに対して昆布20〜40g(水の重量の2〜4%)。
昆布のうま味成分であるグルタミン酸は、常温で抽出できますが、
加熱することで手早く抽出できます。
しかし、その場合は、ぬめり、渋味、海草臭等も溶け出します。
そこで、基本は、常温の水に30分間浸します。
そして、時間がない時は、水が80度になったところで、昆布をいれて、沸騰直前に取り出します。
出汁とりを始める契機となるのが、出汁とり鍋です。
続いて、鰹節です。まず、削り節を沸騰したお湯に入れます。
火を止めて、削り節が沈んでから濾します。
削り節を入れた後に、火を止めるのは、香りを飛ばさないため。
火を止めた後に、しばらく放置しておくのは、鰹節のうま味成分であるイノシン酸などが溶け出すために若干時間がかかるため。
かたや、高温の湯に長時間入れておくと、渋みや苦みを示す成分も溶け出します。
そのため、3分程度の放置が好ましく、これは、削り節が沈みきる時間とほぼ同じです。
鰹節の量は、水1Lに対して40g(水の重量の4%)程度が相応しいとされています。
鰹節の量が少ないと味が薄く感じられ、多いと渋味が感じられる。
また、市販の削り節には、薄削り(厚さ0.03〜0.1mm程度)と厚削り(0.3〜1.5mm)があります。
薄削りの方が、熱湯に短時間浸けるだけで、うま味成分が速やかに溶け出します。
かたや、厚削りは、弱火で5分程度は泳がせます。
渋みや苦みなどを雑味として味わう上では好ましく、そばやうどんの汁などには相応しいです。
昆布にはグルタミン酸、鰹節にはイノシン酸がうま味成分として含まれますが、
これらが混じり合うと味の強さが飛躍的に増加すると言われています。これを味の相乗効果と呼びます。
以上のように、加熱を通じて、美味しさを抽出することができるのです。
しかし、加熱が過ぎてしまうと、渋みや苦みも出てきてしまうので、その加減が大切です。
そこにこそ、工業製品のように画一化された味ではなく、個性のあるわが家の味が生まれて参ります。