来月当店で開催される家事問屋企画展に向けて、おすすめの商品を紹介いたします。 今回のテーマは「小さな工場の大きな仕事」としました。 特に、工場の作り手の人、人物に焦点を当てます。 ありきたりなのに使いやすい道具が、どのようにして生まれるのか。 作り手の顔が見えてくると、その使いやすさに気づけるようになります。
まずは、ホットパンを製造されているオダジマの小田島智博さんです。 個人的に小田島さんとは、kaicoの会で初めてお会いして、 その後工場を見学させて頂きましたが、熱い想いを持たれている方でした。
家事問屋 読みもの「こうばを訪ねて VOL.7」オダジマの小田島智博さん
オダジマさんは、初代のレミパンを製造された会社です。 このヒット商品の背後には使い手目線の商品開発があり、それがホットパンにも体現されていました。 まずは、レミパンと同じアルミ鋳物という素材に着眼されます。 これが、美味しく焼ける核心です。さらに、これをIH(電磁調理器)に対応させて、フッ素樹脂コーティングを施す。 そのためには海外の工場まで飛んでいく。 また、上下の鍋本体が違ったものになると、鋳物の型が2つ必要になって売価を押し上げてしまう。 そこで、同じ型で同じ鍋を作って、上下で隙間なくかみ合わせることに成功しました。
特徴的なのは、ワイヤーハンドルです。小田島さん曰く 「ワイヤー加工は燕三条が得意とする技術の一つ。ハンドルから蝶番まで一体化したワイヤーでつくれば、他にない見た目にもなる」 しかも安定感よく開閉ができて、取り外しができるようにする。 これを自社で行うのではなく、同じ燕三条のエトーメッシュの伊藤浩樹さんにお願いする。 このように、小田島さんのネットワークを生かして、近くの工場の皆さんの強みを生かしながら製造する。 ここに小田島さんの真骨頂があるかもしれません。すなわち、産地の共存共栄です。 これは、家事問屋のコンセプトでもあります。
ただ、ホットパンのワイヤーの蝶番部分の開発は、何度試作してもうまくいかず八方塞がりの状況に。 それでも、あきらめなかった。 それは、小田島さんが産地の技術力を信じていたからだと思いました。 加えて、デザイナーとして関わる小泉誠さんの仕事に対しての敬意がありました。 「この程度のものを小泉誠さんの仕事として出すわけにはいかない」 そんな気持ちが、小泉さんの力を引き出したのでしょう。 家事問屋の下村企販より「困った時は、ご相談」とオダジマさんを駆け込み寺と呼ぶことにも納得。 ホットパンは、お互いを信頼し合って生まれてきた商品でした。
小田島さんは語ります。 「ブームで消えないものづくりのスタンスを再確認できたという意味でも、ホットパンは私にとって特別な製品です。」 いかにブームで終わらせず、日々作り続けることができるか。いわゆる定番品となること。 それを再確認できたのが、ホットパンであり、その答えは、燕三条の結束にありとの大きな希望であったようです。 その結束を家事問屋が後押ししてくれた。 燕三条のそれぞれの工場が持ち味を発揮して、みなで結束してこそ、大きな仕事を実現できる。 小田島さんは、そんな故郷・燕三条の未来を見つめているのだと思いました。
【事前告知】12月5日(木)〜24日(火)TAKATSU実店舗(愛知県豊橋市)にて家事問屋企画展を開催。 特設売場にて家事問屋の道具を100点展示。ホットパンなど実際にお試しできます。
スペシャルトークイベント:12月14日(土)午前11時〜 TAKATSU実店舗 (参加費無料 申込不要) 家事問屋ブランド統括マネージャー下村企販・久保寺公一さんをお招きして 「小さな工場の大きな仕事」をテーマにお話を伺って参ります。