シチューは、本来じっくりと時間をかけて温めます。
それは、煮汁にとろみが出て、あるいは味がまろやかになるからです。
シチューの煮汁が乳化するとも表現します。
乳化とは、本来は一緒にならない水と油が一体になることです。
ですから、乳化されていないと、水の上に油が浮きます。
かたや、うまく乳化されると、油は浮かず、混然一体となります。
どうしたら、この乳化が促進されるのか。ここが美味しさのポイントとなります。
シチュー作りには相応しい厚手で縦長のGEO深型両手鍋21cm
そこで、少なくとも3時間は、とろ火でじっくり温めることです。
ぐつぐつと沸騰させてはなりません。
すると、お鍋を選ぶ必要もあります。
鍋内温度を均一に保てる温度むらの少ない厚手のお鍋が相応しいでしょう。
この時、薄手のお鍋だと、温度を保つために強火を必要とします。
しかし、強火にすると熱源に近い部分を焦げ付かせてしまう。鍋内温度にも偏りが生じる。
そして、鍋の形状もポイントです。
上写真のような縦長のいわゆる寸胴(ずんどう)鍋が相応しい。
それは、煮立てた時に鍋底から生じる気泡の状態が影響します。
これが煮汁の外に出る手前、煮汁の中で消滅すると、その時に高周波を生じて、それが乳化を促進させます。
その時、お鍋が縦長だと、気泡が昇っていくまでに距離があり、しかも水圧がかかって消滅しやすくなります。
水圧がかかるためには、できれば水量も多い方が良い。
このように、お鍋を選びつつ、少し多めの量で、時間をかけてじっくりと温めることで、味がまろやかになります。
さらに、シチューに入れる肉は、筋のある硬いものを使います。
肉の筋に多く含まれるコラーゲンが美味しさに関わるからです。
コラーゲンは、時間をかけて温めることによって、ゼラチン化されて柔らかくなります。
これがお肉の美味しさにつながります。
しかも、乳化を促進させる働きもあるのです。
なお、圧力鍋で100度以上の高温になると、このゼラチンが分解してしまいますので気をつけます。
また、野菜は一緒に煮込むのではなく、後で見計らって入れると良いでしょう。