残留性有機汚染物質の扱いを規定したストックホルム条約という国際条約があります。 詳細は、こちらのページをご参考下さい。 今月この会議で、こびり付きにくいフライパン等のフッ素樹脂製造時の助剤として使用されていたPFOAという物質が、 廃絶リストに追加することが決定されました。
すでに、国内フッ素樹脂の業界では、このPFOAは使用されていません。 また、フライパンが出来上がった時点では、PFOAのほとんどが除去されていて、その商品の一部になることが意図されたものではありません。 ただ、製造工場での廃棄などによって、地下水などに悪影響が及んでいることが問題視されています。
一時期フライパンメーカーでも「PFOAは使用していません」と表記することがありました。 改めて、PFOAとは、フッ素樹脂そのものではなく、その製造時の助剤とご理解頂き、 こちらのページにあるリスク評価の視点で判断していくことが必要です。
シルクフライパンのフッ素樹脂を製造されたダイキン工業の取り組みが
こちらのページで紹介されています。
また、第三者の立場である食品安全委員会でも、パーフルオロ化合物という括りでPFOAのことを 整理しているものがありますので、 こちらのページよりご参考下さい。 また、当社で以前整理したこちらのページもご参考頂き、 引き続きフッ素樹脂のフライパンを適切に扱って頂ければと思います。
そして、今回のストックホルム会議でのリスト化を通じて、別の視点での課題が浮かび上がって参ります。 商品そのものには問題はなくても、それを製造する過程で使用した化学物質を廃棄することで環境に悪影響を及ぼすことがある。 製造者の責任の範囲ではありますが、それを監視していくことは必要です。
使う場面だけではなく、作る場面でも安全性は問われるべきであり、製造者もコストダウンのみを求めてはならないでしょう。 化学物質を適切に廃棄および処置するためには、コストをかけることとモラルも必要となって参ります。 原発の放射性廃棄物の問題にも通じますが、これからは、リサイクルでの循環を考慮した物作りが問われるでしょう。
PFOAという特定の物質の安全性の問題だけにとらわれて、適切な廃棄処置をする視点を見落としてはなりません。 今は良くても、次世代に巡り巡って返って参ります。加えて、使う側も、使用後は適切に廃棄する。 また、メーカーに価格のみを求めてはならないでしょう。 そして、売る側も、その間に入って、両者のモラルの啓発に参画すべきです。