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代表者のエッセイ

2016年5月27日

わが家の味を求めて

小学6年生の甥が、自家製ラーメンを作っている。朝のスタッフ会議で話題となりました。 スーパーで好みの自家製麺を購入して、スープは自分で調合して作る。 鶏がらスープの素をベースに、オイスターソース等を入れて、自分好みの味にしていく。 そして、具はネギが主で、自分で切って添える。 そのラーメンが大変美味しいとのことでしたが、本人は自分が食べたい一心で作っているとのこと。 そんな甥の姿に、私たちが忘れているものを気付かせてくれるようでした。


それは、わが家の味ではなく、既製品の食品メーカーの味に慣れてしまっていることです。 その結果、わが家の味がなくなり、全国どこでも同じ味となってしまう。 多くの人が受け入れる最大公約数的な味を実現する、食品メーカーの努力は評価されるべきですが、 それだけに依存してはならないでしょう。 理想としては、それをベースにして、わが家の味に調味していくことです。

そこで、わが家の味とは何かを考えていくと、やはり日本の家庭では、出汁に至るでしょう。 それが、わが家の味のベースにあるべきもの。 ところが、こちらも便利な化学調味料のみに依存しやすい状況があります。 それを警告しているお一人が料理研究家の辰巳芳子さんで、 いのちの授業レポートをご参考下さい。 わが家の雑煮を求めて安全安心な自家製調味料の友も同趣旨です。

この出汁の味にこそ体力や知力を結集して、わが家の味、自分の味を求めて行くべきでしょう。 それは生易しいことではなく、自分の五感と思考を駆使して、 毎日の台所で鍛錬していく大事のようにも思います。 そして、最終的には自分の判断で味を決めることができる。これが台所を守る者の目標でしょう。 そこで、便利な既製品があふれる時代、自分の舌を使わないことに気を付けたいものです。

そこで、自由と言うことを思います。 自分で自分の味を判断できる、その味を自分で作れることに、料理における自由があるとも言えます。 わが家の味を求めるとは、自由を求めることにつながります。 その時に大切なのは、意思だと思います。「美味しいものを食べてもらいたい。」 その意思が、やがて味に変わる。 すると、味気ない人ではなく、自分らしい味のある人になれるのかもしれません。