前回の加熱講座で｢調理道具と熱の関係｣を整理しました。 その内容を通じて、IH（電磁調理器）は温度むらが生じやすいので、熱容量の大きい 厚手のフライパンが相応しいことをお伝えしました。 また、IHは鍋底面のみを発熱させて、鍋側面には熱が伝わりにくくなります。 側面はひたすら、底面からの伝導熱を待つのみ。 このコンロの構造は、特に炒める調理では問題があります。 なぜなら、炒め物は、鍋側面からの熱も必要とするからです。 ガスの炎であれば、側面にも熱がまわっていたので、温度むらなく仕上げることができたのです。 そのため、IHでの炒め物が思ったように行かない方は、意外と多数おられるようです。 是非この機会に、朝のスタッフ会議｢電磁調理器をよく知ろう」 なども参考にして、この炒め物の壁を乗り越えて下さい。

ちょうど、極シリーズ天ぷら鍋L（28�p）の評判が入りました。 ｢これがIHでの炒め物には大変重宝です。｣ なるほど！と、大変共感をしてしまいました。 こちらは、ザ・オムレツと同じ3.2mmの厚みがあります。熱容量が大きいのです。 ちょうど前回の加熱講座のおさらいもできます。 これが理解できていれば、このお鍋が相応しいことも理解できるでしょう。 天ぷら鍋が炒め鍋に。もはや、名前を変えても良いのかもしれません。 その形状も、底面と側面の接合部には丸みがあり、炒め物には相応しい。 撹拌しやすくなるのです。 しかも、このLサイズ（28�p）は、 炒め鍋28�pよりも容量があるので、豪快に撹拌できます。 さらに、IHでは油返しをしていただくと、さらに温度むらが解消されますが、 注ぎ口が工夫されていますので、油切れも抜群で、尻漏れも少ない。 また、重くなるとは言え、IHでは鍋を煽る（振る）ことはありません。 ヘラで撹拌するスタイルとなりますから、重さの問題は、この点ではありません。 そして、IHでは、うっかり強火力で空焚きして変形させてしまうことがありますが、 こちらのお鍋であれば、厚手ですので変形もしにくくなっています。 しかも、極シリーズですから、通常の鉄より5倍も表面硬度が高くなっています。 なお、ハンドルは熱くなるので、十分お気をつけ下さい。

極シリーズ天ぷら鍋L（28�p）は、現在製造終了商品となっています。

ここでIHでのフライパン（炒め鍋）の使い方を整理します。 まず、中レベル以下で、じっくりと予熱していただきます。 ここで決して強レベルで行わないで下さい。 前回の加熱講座で整理したように温度むらが起こるからです。 そして、予熱の最終段階で油返しをします。 こちらは、200cc程度の油を入れて、10秒ほど鍋側面も含めて鍋全体に油を馴染ませて オイルポット等に一旦油を返します。 最後に、食材やその食材量によっては、油を付け足して、食材を載せます。 それ以降の火加減は、予熱と同じく、基本的には中レベル以下です。 このようにフライパン調理では、｢熱容量の大きい厚手のフライパンを しっかり予熱して、それ以降は弱火で焼く。｣ これは、お料理初心者の方に、フライパン調理の極意を手短に伝えるトークでもあります。 そして、油返しをしていただけば、温度むらはさらに解消されますので、仕上がりは断然違って参ります。 IHでうまく炒め物ができない方は、このお鍋が、なぜIHに相応しいのかを考えてみて下さい。 お鍋選びと合わせて、その理屈を理解していただけば、IHでの炒め物が楽しくなるでしょう。