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道具選びの眼

2009年7月30日・2018年6月2日改訂

フッ素樹脂加工の考察

フッ素樹脂の大きな特徴は、「こびりつきにくい」、「焦げ付きにくい」点です。 それは、フッ素樹脂の特性のひとつである、「摩擦係数が格段に小さいこと」にあります。 表面が氷以上にツルツルで、触れた物体は、摩擦による抵抗が少なく、その上をよく滑るのです。 その結果、フライパンに付着した汚れなどが、サラッと落とせる。 このお手入れの手軽さが大きな魅力です。

かたや、汚れの落としやすさゆえとも言えますが、油を弾いてしまいます。 油が玉をつくって、ツルッと弾いてしまいます。 その点では、鉄フライパンは、油が浸透して広がって行きます。 調理の点では、鉄フライパンのような状態の方が、油が馴染みとも表現されて、 むらなく均等に熱が伝わり美味しく焼くことができます。 ただ、鉄フライパンは、汚れがが落ちにくくなります。

フッ素樹脂の場合は、油が玉をつくって弾いてしまいます。

鉄フライパンの場合は、油が膜のように広がります。

続いて、フッ素樹脂の特徴の「焦げ付きにくい」を考えてみます。 フッ素樹脂は、熱の伝わりが、鉄やアルミに比べて格段に悪く、 言わば熱を遮断している断熱材のような要素があります。そのため、焦げ付きにくくなります。 また、火が強すぎても、大きな失敗はないとも言えます。 この点も魅力の一つです。

かたや、焦げるにも、良い焦げがあります。 良い焦げ、つまり食材の表面が「こんがりとしたキツネ色」に仕上がるのは、 焼く・炒める・揚げる作業が理想的であった証しです。もちろん食べても美味しいです。 この良い焦げを出す上では、鉄フライパンは優れているのですが、 火加減を調整する必要があり、少々経験が必要となります。

このように、人間の性質と同じようで、長所が短所となったり、短所が長所であったりいたします。 それぞれに一長一短がありますので、その特性を把握した上で、付き合うことが大切です。 また、上手に使い分けて頂く事も必要でしょう。

なお、フッ素樹脂加工フライパンは、鉄フライパンと比べると末永く利用できません。 表面が劣化してしまい、最初のような「こびりつきにくさ」がなくなってしまいます。 こちらもデメリットになるかもしれませんが、その点では、正しい火加減とお手入れを守って頂くことで長くお使い頂けますので、 この点にはご注意頂ければと思います。「フライパン寿命の考察」をご参照下さい。

また、安全性に関しては、2分以上の空焚きに気をつけて頂く必要がありますが、詳細は こちらのページを参照下さい。 焦げ付きにくく汚れが落としやすい重宝なフライパンですから、今後とも賢くお役立て下さいませ。