米とぎのポイントをこちらでご紹介しましたが、 最初の洗米でさっと手早く洗い流すこと。そのため、ザルとボールのセットをおすすめしていましたが、 良いボールがありました。日本製で作りも良いです。 こちらなら、ボール一つでさっと洗米ができます。 なんと、底部が水平部分、その両端に斜めに成形加工した斜面部分と3つあるのです。 そのため、傾るだけで3通りの使い方ができるように工夫されています。 この斜め成形も技術なのでしょう。3通りに使えるので、その名も水切りボール3WAY。
一方の斜面部分の外側には上写真のような穴が開いています。 もう一方の斜面部周辺には一切穴がありません。 そして、平面部分を加えて、底から見ると3つの面があることになります。 そのため、お米を洗う時は、下写真のように、穴のない斜面部分を底にします。 これが、絶妙な角度で、水も溜まり安定感もあるのです。(1.水に浸す)
そして、水を切るときは、下写真のように反対側の穴の明いている方を底にします。 すると、自然に水が流れて行きます。(2.水を切る)
もちろん、下写真のように水平部分に置くこともできて、その状態は、さらすことができます。 水を流すと、一定量までは溜まりますが、その後は、穴から水が流れて行く感じです。 (3.水でさらす)この3用途で3WAYです。サイズは内径21cmの1種類ですが、3〜5合なら、この大きさで十分でしょう。お米以外にも用途はありそうです。
この商品は、昔からボールやザルを作ってきた 新潟県燕市の藤井器物製作所さん。私も工場を訪問したことがあります。 やはり、こちらも、米どころの商品。 本日藤井さんにお電話で伺うと、このボールができるまでに 5つほどの試作を重ねて、ようやく完成した商品とのことでした。 特に、私が感動したのは、水を切る時に、斜面部分に丸い足と言いますか、 外側に向って凸部分が3箇所あります。下写真をご覧下さい。
この上の2つの凸と下の1つの凸の高さが違うのです。 その高低差で、水が流れやすくなっています。 その底面にも低い方に、若干数の穴がきちんとあります。 ただ、水には張力もあるので、全部流れきる訳ではなく、 あくまで理論上のものなのですが、このこだわりが嬉しく思いました。 そして、外側の側面はミラー仕上げなのですが、内側全面と外側の底面は艶消し仕上げです。 これもこだわりで、水に触れる内側の変色防止のためです。 長く使っていると、ミラー仕上げですと水と反応して変色を招きます。 水も意外に強いもの。また、斜め成形など加工をしている部分には、艶消しの方が外観が良くなります。
あのチェリーテラスさんの逸品 オールラウンドボウルズも、 藤井さんが製造を担当しています。 柳宗理とは違い、こちらはメッシュ網ですので、水切りは抜群。 こちらも良く観察すると、道具と言うより芸術品のように感じます。 それこそ、こちらのボールとザルのセットで米を研いでも良いですね。 メッシュ網のザルとボールのセットは意外にないものです。
また、オールラウンドボウルズも3WAYも縁があるので、持ちやすい。 ちょっとした事ですが、この縁があるとつかむ時に便利なのです。(下写真参照) また、へんにペコペコしておらず、それでいて重すぎず、 適度な厚味があるので耐久性も良いです。 やはり、国からも認められ、物作りの街、燕市のデザインコンクールでは、 この3WAYが2008年度中小企業庁長官賞にも輝いています。 小学校の理科の時間のように、しっかりと観察してみると、 商品には、作り手の心意気が見えてきます。そんな気持ちが伝わってくるメードインジャパンです。