第二回は実店舗でのお付き合いも長い、新潟県燕市の「工房アイザワ」
フライパン倶楽部店長がアイザワさんの魅力に迫ります!

【台所道具にアートを持ち込んだ先駆者】
当社実店舗には、アイザワさんの黒塗りの木製什器が25年以上使われています。
そこには、「男の台所もいいが、誰がなんといってもキッチンは女の城です。」
一昔前の女性の強い意思、責任感および使命感を感じることができます。
「女の城」という表現は、台所を守る、それが家庭を守ることに通じる真剣勝負なのでしょう。
時代が置き去りにしてしまった、古き良きものの一つのように感じます。
そんな女の城で使われるべき道具とは何であるのか。
その黒い什器から伺えるのは、機能性だけはなく感性であり、美を追求する強い意識です。
そこには、アートを感じます。
それを象徴するのが、平成元年に新潟県の港町で開館した「相澤美術館」の存在でした。
アイザワさんの元相談役・相澤狩野さんの個人コレクションで、企業メセナ活動の先駆けでもありました。
今日は閉館したものの、その千を越える収蔵品は、新潟県立近代美術館に寄贈されました。
什器の黒色はアイザワさんのテーマ色でもあり、正式には橡(つるばみ)色。
この橡色がステンレス製の道具を引き立てます。
パッケージおよび台紙にも多用されて同じ道具であっても、アイザワさんのパッケージにくるまれることで、ワンランク上の品に。
そして、黒い背景で輝くのは、あくまで道具であり、それを使う人たち。
そんなアイザワさんは、当時としては異色の存在であったかもしれません。
アートとは何か。コレクションでは「自分の感性が求めていた」ものを収集していたと言われています。
そこには自由があり、その自由があってこそ、美味しいお料理が出来上がります。
お料理こそアートであり、女の城とはアトリエのようにも感じます。
今日もそのアトリエで生まれる、お料理という芸術作品が、家族みんなの心身を豊かに育んでくれます。
(おわり)