来月当店で開催される家事問屋企画展に向けて、おすすめの商品を紹介いたします。 今回のテーマは「小さな工場の大きな仕事」としました。 特に、工場の作り手の人、人物に焦点を当てます。 ありきたりなのに使いやすい道具が、どのようにして生まれるのか。 作り手の顔が見えてくると、その使いやすさに気づけるようになります。
今回は、家事問屋シリーズ調味缶と粉もの缶を製造されている猪熊製作所の猪熊尚洋さんです。 猪熊さんは、家族経営の小規模生産で品質の高さを守り続ける2代目社長となります。
家事問屋 読みもの「こうばを訪ねて VOL.8」猪熊製作所の猪熊尚洋さん
猪熊さんの工場は、ミルクピッチャーという小さな道具を30年以上製造してきました。 昔の喫茶店でよく見かけた懐かしい道具ですが、家事問屋でもノベリティ(非売品)でご提供していました。 こちらは、下請けの仕事だけではなく、自社独自の商品を開発したいとの思いから誕生したそうです。 そこには、独立自営の気概を感じます。さらに、フタと本体の二つの部材のみで成立するシンプルなステンレス調味缶を生み出します。 この商品のネジの構造に注目。フタは締めやすく外れにくい必要があります。 少しでもネジの精度が狂うと空回りしたり、きつくて閉まらない。
そこで、猪熊さんの調味缶は、時間が経過しても、このフタの取り外しが快適にできる品質を保持します。 家事問屋の調味缶や粉もの缶の本体裏側には「KASHIWA」の刻印が刻まれていますが、 これは猪熊さんの会社の品質の証であり誇りなのです。 その品質の由来を猪熊さんは語ります。 「かねてより、大きいことはいいことだに対し、本当にそうなのか?と疑問を抱きながら、 自分なりのやり方を模索していた先代の意思を継ぎ、今日も最低限の人数で製作をおこなっています。」 家族経営と呼ばれる従業員4人で作る心意気が伝わってくるようです。
そんな猪熊さんは、三条燕の産地について特別の想いをお持ちでした。 「これだけ狭い範囲にさまざまな金属加工ができる工場が集まっている地域は全国的に見ても他にありません。 小さな工場がたくさんあって、近所付き合いでつながり合っているからこそ、 いろいろな技術や製品が生まれて、面白い産地になったと思います。」 ここに家事問屋は誕生しました。 ところが、この産地でも高齢化が進み、後継者不足はじめ、さまざまな問題を抱えています。 こんな産地の価値と現状を使い手の皆さんとも共有して、皆さんとともに産地を応援して参りたいです。
【事前告知】12月5日(木)〜24日(火)TAKATSU実店舗(愛知県豊橋市)にて家事問屋企画展を開催。 特設売場にて家事問屋の道具を100点展示。ホットパンなど実際にお試しできます。
スペシャルトークイベント:12月14日(土)午前11時〜 TAKATSU実店舗 (参加費無料 申込不要) 家事問屋ブランド統括マネージャー下村企販・久保寺公一さんをお招きして 「小さな工場の大きな仕事」をテーマにお話を伺って参ります。