天然の木製品には、まれに虫が卵や幼虫として入っており、ご購入後しばらくしてから
「虫が発生した」というようなことが生じるようです。
その点では、只今当社での定番品である山一の桶製品では、
虫が生息できないように処理されています。
以下のような製造工程を経ている点をご理解頂き、その点では安心してお役立て下さいませ。
虫が生息できなくなる製造工程である乾燥工程が2回にわたりございます。
1回目は、含水率25%前後の桶用さわら板材を低温除湿乾燥室(20℃)に入れます。
24時間かけてゆっくり65℃まで上げ、その65℃の状態で3日間乾燥させます。
ゆっくり温度を上げていくのは急激な温度変化で木材に割れや反りが発生するのを防ぐためです。
その後、24時間かけて20℃まで下げて乾燥室から出します。
出す時の含水率は6%です。都合6日間かけて乾燥させていますが、蒸気とファンの熱で温度を高めることで、
天然樹脂(ヤニ)の除去も行っております。乾燥工程で蒸気を与えることは不思議に思われるかもしれませんが、
蒸気によって天然樹脂(ヤニ)が木の内部から滲み出てくるため、この方法で行うのです。
2回目は、1回目の乾燥が完了した板材を桶に加工し始めます。
食品衛生法適合のコニシ社のCH18というボンドで鉄製の仮箍を使用し側板を接合します。
この作業まで空気中の湿気を板が吸収し、含水率はこの段階で8%に戻っております。
そこで銅箍を嵌める前に温風70℃の乾燥室に2時間程入れます。
これによって、再び含水率は6%に下がり、この状態で迅速に銅箍を嵌めています。
これが永年の経験上、最も箍が外れ難い製作時の含水率です。
この乾燥処理工程で木に潜む虫は生息できなくなると思っております。
昭和46年から創業し、これまで虫の発生は一度もありません。
その上で、日本木材総合情報センター「木づかいなんでも相談室」主任相談員の中井孝先生(農学博士)の見解をご紹介いたします。
「『一般に昆虫類は56℃以上の温度では短時間で死亡し、それ以下の温度でも長時間接触すれば死滅する。
たとえば、ヒラタキクイムシは材中温度を50℃に30分以上加熱すればすべて殺すことができる。』
御社の製品に用いる板厚がそれほど厚くないことを考え、採用されている加熱状況から、ムシが製造過程で生存する可能性は考えられません。」