料理道具専門店 フライパン倶楽部

since 1970 FR CAMPANY
Instagram ご相談窓口
ホーム 会社案内 ご利用手引き 取扱ブランド カートを見る

料理道具専門店 フライパン倶楽部

MENU
0120-08-8271 10:00〜18:00 水・日・祝日定休 お問い合わせ 利用手引 取扱ブランド Instagram カートを見る
ご相談窓口 info@furaipan.com 10:00-18:30 水・日・祝日定休
ユーザーの声
→投稿する
朝のスタッフ会議
月間ベスト30
FRオリジナル商品
フライパン
炒め鍋・中華鍋
たまご焼き器
天ぷら鍋
お鍋・ケトル
圧力鍋・キッチン家電
包丁・まな板
木製品
ボウル・ザル・バット
調理小物
食器・ガラス
保存容器・弁当箱
ファブリック
お手入れ道具
入荷&欠品情報
セール品
おすすめギフト
オリジナル企画
個人情報取扱
特定商取引法表示
TAKATSU furaipan.com

美味しさの科学

2012年1月17日・2021年5月17日改訂

調味料としての塩

現代の日本人は塩分を取り過ぎる傾向にあるようです。 塩分摂取過剰は高血圧などを招き、さまざまな病気の元になるとも言われます。 ただ、汗を流すことが多ければ塩分をより必要としたり、各人の食塩感受性の違いもあり、 適切な摂取量は人によって違うとも言えます。 それでも、この時代は、塩分摂取には気を付けるべきでしょう。

そのために、インスタント食品はじめ、出来合いのものや外食には依存せず、 自分で料理を作ることが肝要です。 そうすれば、素材そのものの味を引き出せます。 具体的には、まず新鮮な食材を選ぶ。その食材に適した加熱すなわち調理に取り組む。 さらに、味のベースである昆布や鰹節できちんと出汁をとれば、自然と減塩にもつながります。

そこで今回は調味料としての塩を整理してみます。 味を調(ととの)えると書きますが、この調えるがポイントです。 味はもちろん、硬さ、色、香りなどの要素までを含めて、美味しさを調えてくれるものと言えます。 お料理の要諦は、火加減、水加減、そして塩加減です。 適切に塩を使うことによって、お料理はさらに美味しくなります。

量と温度に気をつける

塩は、まず使う量がポイントです。 その昔、食通の徳川家康が、そばに仕えていた女性に「この世で一番うまいものは何か?」と尋ねます。 「それは、塩です。山海の珍味も塩の味付け次第。また、一番まずいものも塩です。 どんなうまいものでも塩味が過ぎると食べられなくなります。」 家康は、この言葉に大変感銘を受けたと言われていますが、適量を教えてくれます。

コンテやくさじで小匙1を計測して、適量を見極めます。

そこで、人間が美味しいと感じる塩の量はいかに。 食材によって、あるいは温度などの状態によって違いはありますが、 おおむね液体で約1%の濃度の時だと言われています。 これは、血液などの体液の塩分濃度とほぼ同じとなります。海水で3%です。 なお、1%の塩分濃度とは、水1L(1000g)に対して、塩10g、小匙2程度となります。

それに加えて、液体の場合は、温度を考慮します。 塩味は、液体の温度が高くなるにつれて、おだやかに感じます。 また、温度が低いと塩味を強く感じます。 なお、固体に関しては、かなり濃い塩味の方が美味しく感じられます。 水分の少ない極端な例としては、塩の粒そのものを舐めるだけでも、美味しく感じられることで分かります。

食材の味を調える

そして、塩味は、酸味のある酸っぱい味に丸みを帯びさせます。 酢のものに塩を加えると、酸味が和らいで美味しくなります。 反対に、塩味を丸くするために、酢を入れます。 さらに、塩には、他の味を強める作用もあります。 お汁粉に塩を入れるのが、良い例です。 塩を少々入れることにより、甘みが増します。 これは味覚の対比作用と呼ばれています。

イワキ 塩・コショウ入れで、むらなく均等に塩がふれるので加減しやすいです。

食材の表面を固める

続いて、魚や肉などのタンパク質を固める作用があります。 魚や肉に塩を振りかけて焼くのは、単なる味付けだけではありません。 塩分があると、表面のタンパク質が早く固まるのです。 正確には、固まる温度が低くなり、結果として早く固まることになります。 そのため、内部の汁が出にくくなるのです。

なお、塩をかけるタイミングにも注意します。 ステーキなどは、焼く直前に塩を振った方が良いでしょう。 早くから塩を振ると、内部まで塩が浸透して、内部まで固くなってしまうからです。 なお、魚の表面の粘質物もタンパク質ですから、塩を振ることによって固めて処理ができます。 タコ、ナマコ、アワビなどの粘質物も同様で、塩でこすると良いのです。

食材から水分を吸いだす

続いて、食材から水分を吸い出す作用です。 これは、理科の時間で習った浸透圧の原理によるものです。 濃度の低いところから濃度の高いところに水分は移動します。 食材の表面に塩を振れば、表面の濃度が高くなり、食材内部から水分が出てくることになります。 お正月にも食べる「なます」は、この作用で美味しくなります。

なますとは、大根とにんじんを千切りにして、酢等の調味料に浸したもの。 食材を切って、そのまま酢に浸しても、酢は浸透しません。 かえって、内部の水分が出て、水っぽくなる。 そこで、食材を切ったら、ザルにおいて塩を振り15分程度おいておきます。 すると、内部から水分が出てきます。これを絞ってからお酢に浸せば、味が染み込みます。

食材の色合いを良くする

最後に、塩は色合いを良くします。 ほうれん草や小松菜などの葉野菜を茹でる時に、塩を加えれば、緑の発色が良くなります。 これは、葉緑素が安定するからです。 なお、茹で上がったら、すぐに冷やします。 茹で時間が長い、および茹でてからも高温の状態が続くと、 葉緑素が分解して色合いが悪くなってしまうからです。

また、リンゴの皮をむいて、そのまま置いておくと、酸化が進んでリンゴは茶褐色になります。 そこで、皮をむいたリンゴは、塩水に入れておくと良いのです。 塩が、酸化を止める役割を果たします。 リンゴをミキサーにかけてジュースにする時も、少量の塩を加えておくと、美味しい色合いを保持できます。 このように、塩を理解すれば、お料理も必然と美味しくなります。