頑固な油汚れは、界面活性剤のみでは追いつきません。そこで、アルカリを利用します。 このアルカリを主成分とするのが、強力洗剤です。 例えば、市販されている花王のマジックリン、ライオンのルックなどです。 この洗剤には「換気扇やレンジに」と表記があります。 すなわち、換気扇やレンジとは、油汚れが頑固に付着しているところでもあります。
これらも、あくまで合成洗剤ではありますが、アルカリが含まれているところに洗浄力の鍵があります。 このアルカリの働きについて整理します。 アルカリは、油脂や脂肪分に反応して石鹸に変えてしまいます。 前回ご紹介しました石鹸の話を思い出して下さい。 油汚れが、アルカリと反応して石鹸に変わり、汚れがなくなります。 さらに、新たに生まれた石鹸が、他の汚れを落とします。
加えて、アルカリは、タンパク質の汚れを分解する作用もあります。 このように良い事尽くめのアルカリですが、デメリットもあります。 強力なものは、人間の肌には良くありません。炊事用手袋を着用します。 眼鏡等を着用して目の中に入らないようにします。 また、アルミ製のお鍋など、アルカリに弱いものには、お鍋そのものを変色させてしまいます。 洗浄力はあるのですが、このようなリスクが伴うわけです。
その点では、洗浄力は落ちますが、アルカリの度合いが弱い、弱アルカリ性の重曹は、お肌にはより安心です。 常日頃お手入れをしていれば、油汚れもひどくはならず、 この優しい洗浄力の重曹で事足れりと言えるかもしれません。 本来は、こまめに重曹でお手入れすることをおすすめしたいところです。
しかし、一旦放置して、油汚れが頑固にこびりつくと、もはや重曹では追いつきません。 なお、鍋やフライパンの焦げ付きを取る時に、重曹を振りかけて煮立てる方法があります。 沸いてくると、泡(炭酸ガス)が出て来ますので、その泡によって汚れを落とす作用があります。 しかも、重曹は炭酸ソーダに変わり、アルカリ度が強くなる。 火を止めて、そのまましばらく置いておくと、汚れの分解がすすみます。 この点で、重曹を入れて煮立てる方法は、理があるのです。
ただ、あくまで重曹は、弱いアルカリ性ですので、お肌には良いですが洗浄力は劣ってしまいます。 洗浄力のみで考えますと、強力洗剤の方が相応しいでしょう。 その時は、炊事用手袋などをしっかり使用していただきます。
強力洗剤の使い方は、基本的にはラベルなどの説明をよく読んで下さい。 一般的には、汚れに強力洗剤を、スプレー等で吹き付けます。 この時、しばらく置いておくと、汚れが落としやすくなります。
頑固な場合は、漬け置きと湿布する方法があります。 漬け置きは、説明書に沿って薄めて下さい。 道具や場所によって漬け置きができない時は、湿布が有効です。 強力洗剤を含ませたキッチンペーパー等を汚れにあて、湿布のような状態にします。 さらに、その部分をラップで包んでしまうと良いでしょう。この状態で、しばらく置いておきます。 ラップの上からドライヤーで温風をあてると、さらに落としやすくなるようです。
これらを整理しますと、すぐに拭きとらずに、しばらく浸しておくことが良いと言えそうです。 さて、それでも、炭化した焦げ付きや、長時間経過した油汚れは、落とせないことがあります。 その時は、研磨力のあるもので磨いていただくことです。 本来は、ここまで至らないように、丁寧に調理していただくこと。 手早く頻繁にお手入れいただくことでしょう。