昔ながらの日本のお料理道具のひとつに、すり鉢があります。 太古の時代より使用されていた道具のようです。 最も古いお料理道具なのかもしれません。 今ではあまり見かけなくなくなりましたが、その歴史を考えますと、 最も末永く愛されてきた道具のように思います。
そこで、すり鉢と言えば、岐阜県土岐市駄知(だち)町で作る、 いわゆる駄知すり鉢がおすすめです。 内面の目は、櫛状のもので手作業で入れます。下の写真をご覧下さい。 この目がポイントです。その作業を思うと、良心的な価格だなあとも感じます。 その材質がとても堅くて、割れにくく、すりやすく、しかも目が長持ちするのが特長です。
そこで、すり鉢でイワシのつみれを作ってみました。 いつも使っているバーミックスと食べ比べ。 すり鉢のする作業に対して、バーミックスは切る作業なので、 根本的に違うのですが、仕上がりの見た目はあまり変りません。 しかし、微妙なところで、味わいは違いました。 する方が、そのイワシらしい味が濃厚でした。イワシ玉をイメージしました。 バーミックスは、イワシ玉を連想できませんでした。
このような食感や味わいに、個人的にも鈍感になっているのかなあと反省しました。 さすがにバーミックスは便利ですが、すり鉢も慣れてしまえば、 それほど手間ではなく、力の入れ具合によって、擦り加減も自分で調整できます。 しかも、味わい深い。昔の人たちの方が、きっとこの食感には敏感だったのでしょう。 道具を通じて見えてきます。
また、すり鉢と言えば、とろろです。折角なら、とろろも作ってみたいところです。 この時に、迷うのがすり鉢のサイズ。 つみれや胡麻和えなら小さめでも良いのですが、 とろろとなると、もう少し大き目の方がすりやすい。 あくまで、場所をとらずに、お手入れが楽で、収納しやすい点をおさえておきたい。 そこで、1つだけを選ぶとしたら、おすすめのサイズが8寸です。
とろろは、すり鉢に6分目程度の出来上がり量が相応しいでしょう。(上の写真参照) お茶碗にかける量が、お玉(100cc)一杯としますと、5〜6杯分となります。 3〜4人の家族には相応しいです。 なお、この上の9寸となると、5人以上の目安で作業はしやすくなると思います。 また、8寸はラーメン丼ぶりとほぼ同じ大きさですので、収納時は丼ぶりと一緒に重ねても良いです。 そういえば、函館でラーメンを食べた時でした。 なんと、丼ぶりが、すり鉢だったのを思い出しました。 その時も、多分このサイズだったように思います。
もうひとつは、やはり胡麻すりです。今回は、小松菜の胡麻和え。 とても簡単に小鉢一品の出来上がりです。 小松菜をさっと茹でて、すり鉢ですった胡麻に和えるだけ。 8寸のすり鉢なら、悠々と調理ができます。小鉢物には、やや大き目かなという印象もあります。 今回は、さらに香りを高くするために、炒りたてのごまを使ってみます。 そこで、ゴマを小さめのフライパンなどで、動かしながらトロ火にかけます。 ほんのり色がついて、パチンパチンと音がしたら出来上がりです。
その胡麻をすり鉢の中に入れて、すりこぎ棒ですります。 その瞬間に、ふわ〜っと胡麻の芳香が漂います。これが、幸せの香り。 手軽なゴマすり器なども、すり鉢にはかなわないでしょう。 お好みで醤油や砂糖をふりかけて、最後に茹でた小松菜を入れて和えます。 結構うまく絡むものですが、目の中に入ったものは、 意外にこちらのヘラなどを使うと便利です。
すりこぎ棒も各種ありますが、こちらも場所をとりたくないところ。 そして、すり鉢8寸と9寸に相応しいのが、太口33cmのさわぐるみ材のものです。 なお、すり鉢の下に濡れフキンを敷くと安定性がありました。 お子さんに手を添えていただくのも一つです。 昔は、お手伝をして、「痒いよ〜」と言っていた頃が懐かしいです。 もう一度、すり鉢とすりこぎ棒で、日本の原点に返ってみませんか。
駄知すり鉢9寸とすり棒(さわぐるみ材)太口33cm