第九回は「一菱金属」
フライパン倶楽部店長がコンテでおなじみの一菱金属さんの魅力に迫ります!
【 作り手、売り手、使い手がよろこぶモノ作り 】

一菱金属さんの新社屋は、燕三条のモノ作りと根底で通じる画期的な建築物です。
一菱金属さんの思想と要望が、きちんと建築家に伝わっていて、それを見事に体現。
そして、売り手の私たちにも「良いものを作り続けることができる。」そんな希望のエールを頂いているようです。
そんな新社屋で働く社長さんと、弟の江口広哲さんがタッグを組んで、「コンテ」を生み出しました。
広哲さんは、アーティストでもありますが、その自由な発想と行動力が光ります。
2021年グッドデザイン賞を受賞した一菱さんの新社屋
広哲さんは、物作りはもちろんですが、流通のことにも着眼していました。
従来の流通ルートでは、価格競争に至ってしまい、それが作り手にも及んで職人さんの工賃が稼げない。
そこで、流通に詳しい日野明子さんとの出会いとともに、既存の流通ルートではなく、
自分の足で新しい販売店を開拓していきます。そんな汗を流している時に、広哲さんと出会うのですが、
内に秘めた熱い想いをお持ちで、また、きちんと物を作ること売ることを構想していました。
「まかないボウル」からはじまったコンテ。高い技術を感じさせる美しい磨きと巻かない縁。ザルやバットの組合わせで幅広い使い方ができる新発想。
物を作ることに関しては、小野里奈さんというプロダクトデザイナーとの出会いを引き寄せます。
小野さんは、学生時代に羽生道雄さんのもとで学んでいた。羽生さんと言えば、モノプロ工芸を主宰して、
当社でも長年扱っていたクックパルのお鍋等を手掛けたデザイナー。
羽生さんは、物づくりの方向性を決める場は、売り場であると考えていました。
そして、最終的に、広哲さんが製造現場でのコストを勘案。使い手を想い、熟慮した上で価格を決める。
ボウルに続いて登場した「こしますオイルポット」
「やくさじ」。かゆい所に手が届く逸品です。
このようにコンテとは、良き出会いの物語で彩られ、人の輪から生まれたことが分かります。
そして、そのベースには、江口さん兄弟が育ったふるさとの地場産業への敬意と感謝があると感じます。
それが多くの人たちを惹きつけてきた。私ども小売店も然り。
そこには、使い手よし、売り手よし、作り手よしの三方よしの大きな輪が成立しているようです。
その象徴物が、冒頭の新社屋とも感じます。そして、それを一番喜んでいるのは、やはり使い手なのです。(おわり)
パッケージにもこだわります。トータルでコンテブランドを作り上げています。