東海道の宿場町である二川は、江戸情緒漂う街並みが残っています。 当店のある豊橋駅前から静岡県方面に自動車で20分ほどのところに位置します。 すぐそばには、恐竜をテーマにした自然史博物館と遊園地が併設される 豊橋総合動植物公園が控えています。
今回、草津宿街道交流館でTKD(東海道)57総選挙を実施したところ(有効投票数5,105)、東海道にある57の宿場町の中で、二川宿が一番人気だったそうです。 二川の住人である私の解釈では、二川宿の人たちの自治意識の高さが、その結果を生み出していると誇らしく思いました。
灯籠で飾ろう二川宿 二川宿本陣資料館前
それは、行政が主導する街づくりではなく、住民たちが積極的に参画していることで分かるのです。 この夏にも行われた催事「灯篭(とうろう)で飾る二川宿」は、住民たちのボランティアで運営されています。 JR二川駅を起点に東方向へ1.5qほどの細い通りの両脇に灯篭を並べて、ぶらぶらと練り歩く行事です。 途中にお店や屋台が立ち並び、ところどころで和太鼓や和楽器の演奏なども楽しめます。
こちらの通りの拠点になるのが豊橋市二川宿本陣資料館です。 本陣は、大名などの宿泊施設ですが、そこには庶民の宿泊施設であった旅籠屋(はたごや)「清明屋(せいめいや)」も併設されています。 加えて、この秋11月1日には、商売を営んでいた商家の「駒屋(こまや)」が改修復元されて開館いたします。
この「駒屋」の開館に向けて、住民たちは数年前から準備を進めて来ました。 そこでは、地元住民による観光案内、地元特産品の開発と販売などを目指しています。 もともと、平成14年に住民の自主的組織として「二川・大岩まちづくり協議会」が設立されたことを契機に、 行政との協働事業「二川宿ブランド化推進委員会」では、観光案内の指針ともなる 住民手作りのリーフレットの製作や新しい特産品「レモン柏餅」の開発などを手掛けて来ました。(レモンは、前回ご紹介した二川の河合果樹園さんのものです。) そして、行政の直営ではなく、住民たちが「駒屋」の管理運営を担っていくことを目指して、 昨年3月に特定非営利活動法人(NPO)を設立するに至りました。
ここに至るまでに、住民は、持続可能な組織を模索していました。 そこには、次代に継承して行きたいとの強い思いがありました。 かたや、利益を追求する企業ではなく、目的や目標が明確でないサークルでもなく、 社会的な信用を備えて、透明性の高い運営を行うことも求めていました。 そこで、議論を重ねた結果、NPOという組織に至ります。
この法人の目的は、「二川宿を中心とする二川地域の歴史文化を全国に発信し、地域住民の誇りとなる地域づくりを目指すとともに、 地域資源である市民活動を支援し、次世代への文化の継承をすることで、住まう人、訪れる人に魅力ある地域とする。」 行政任せにせず「自分たちの街は自分たちで創る」気概に満ちています。
そして、駒屋開館の1週間後の11月8日には、毎年恒例の二川宿本陣まつり大名行列も行われますが、こちらは今年で25周年を迎えます。今年は、二川宿にとって節目の年となります。 この秋には、ご来店かたがた、二川宿にもぶらりと寄ってみて下さい。
平成27年葉月