今回は、イタリア料理レストラン・フラスカティの榊原弘盛さんです。その未来像は「誇りをもち自分の味を楽しむ街」でした。
自分の味とは、さまざまな出会いによって醸し出されるもの。
それを偶然ではなく運命的だとする。その出会いを前向きにとらえて感謝することで、濃厚に立ち現れるように感じました。
こちらより視聴できます。
また、それを前向きに感謝してとらえることができるためには、いろいろな過程を経てこそかもしれません。
独立開業して20年間は暗闇であったと率直に言われていました。
その暗闇を通ったからこそ、光のありかを悟れたのだとも思いました。
それが、榊原さんの今日の味につながっていました。自分の味とは、悩み苦しんでこそ立ち現れてくるものでしょう。
今回の取材を通じて、榊原さんの料理に真剣に向き合いたいと思いました。
そこで、榊原さんのレストランに一人座って、全神経を集中して頂きました。
まず、私のうちから沸き起こった言葉が、「すべて疲れたもの、重荷を背負っているものは、・・・」
これはマタイの福音書の言葉です。その人たちにこそ響く料理だと思いました。
フラスカティのホームページでは、「人は食べるということで、生きる力を得てきた。
だからレストランも根本的に考えれば、生きる力を得る場所だと思う。
いかに食べることによって力を吸収できるか。それは素材の持つ力や旨さを最大限に引き出すしかない。」
その背後には、鶴の恩返しのように、自分の羽を織り込む作業があることを明かしてくれました。