料理道具専門店 フライパン倶楽部

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代表者のエッセイ

2013年8月10日

商品を伝える店に、人は集まる

「D&DEPARTMENTに学んだ、人が集まる『伝える店』の作り方」(美術出版社)を読んで、ある光景を想像した。 〜フライパンを作っている人とは知らずに、その人の前でフライパンを使っている。 早く調理をしようとして火加減を強くする。すると、焦げ付いてしまう。 ついには、こんなフライパンは使いものにならないと廃棄してしまう。 フライパンなんか、安いものだからまた買い替えればいいさと、その人の前で笑いながら語っている。 その時、フライパンを作っている人はどんな気持ちになるのだろうか?〜

売り場が変われば、生活者の生活が変わる

今日の大量生産・大量消費の時代に、著者であるデザイナーのナガオカケンメイ氏は、 自分のデザインした商品が安易に使い捨てられていく実態に愕然とする。 「ものをつくりすぎている。新商品が出るサイクルが異常に速い。」 「ものへの思いがおかしくなっているのだ。」と表現されている。 そして、その責任を使う人ではなく、売る人にあるとしている点は慧眼であると思う。 売る人が、きちんと伝えているのか。売る人が、きちんと売っているのか。 巻末の言葉では「日本の生活品売り場の現状は惨憺たるものだ。」 そこには、売ることへの本質を見極める洞察がある。 そして、売り場が変われば、生活者の生活が変わり、モノ作りも健全な方向に正されると。 売り場は、大きな使命を担っているのだ。 そこで、ケンメイ氏はデザイナーの仕事にとどまらず「D&DEPARTMENT」という生活用品を 販売する新事業も手掛ける。

つくる人に思いをいたせば、商品を伝えることができる

今の売り場が、退廃している大きな原因は、安売りであろう。 「価格を下げたり、セールをするというのは、購入する人たちだけが 得することであって、つくり手その製品をとりまく生態系の継続を考えたとき、安売りした歪みはどこかに影響します。『つくる人』『売る人』『買う人』のすべてがハッピーでないと、ものの大切な本質は育っていきません。自分は生活者だからといって、他の二つの存在のことを考えないでいると、結果として自分の地域や国が貧しいものとなっていきます。それをイメージすることが大切だと思います。」 冒頭の私の想像もこの言葉から浮かんで来たのかもしれない。 安く買うと言うことは、結局は、買い手の都合のみを考えた自己中心的な発想とも言えるのだろう。 こうも表現されている。 「値引きや低価格化は、お客さんにとってメリットだということになっています。 しかし、お客さんにとっても、そこで欠落するものがきっとある。 たとえば、ものへのありがたみや、作り手への思いのようなものです。」 そこには、つくる人への思い、さらには感謝まで感じることができる。 だからこそ、商品を伝えることもできる。 ご自分がつくる仕事に関わって来たからこそ出て来る言葉なのだろう。 売り場の退廃とは、つくる人から離れてしまい、つくる人と思いを共有できなくなっていることが 原因ではなかろうか。

売る人は、自分だけではなく社会や地域に貢献していく

それらの思いやりがあればこそ、自然と広く社会に国家に目が向いていく。 そこに責任や使命を自覚する。そして、自分はどのように貢献できるのかと自分探しを始める。 それは、自分らしさにつながり、地域や故郷を愛することにつながってもいくのだろう。 ケンメイ氏は、そのお店で、ロングライフデザインという息の長い商品を販売するとともに、 そのお店が立地する地域ならではの商品を取り揃えるようにしている。 改めて、売る人は、自分の店とは何であるのか。何を売るべきなのかを真剣に考える必要がある。 「『伝える店』を続けていくためには『社会』『地域』『自分』『商売』という4つの要素のバランスを適切に保つ感覚が不可欠だということです。自分のことだけ考えている人は、絶対にうまくいきません。 『伝える人』として大きな比重を置くべきは、社会や地域のほうです。 しかし、そればかりを考えて『自分のために』という意識がなければ、やっぱり長続きしないのです。 お店をやることを楽しむ気持ちを、経営者がもてないといけません。 自分がやりたいことと、社会の現在や未来への考えと、ベースとなる地域や周囲の人々への気持ちが、 ひとつに結び付いているのが理想です。」 このことを人間性を磨くことであるとも表現されている。 売る人にとっては、このような人格者になることが目指すべき境地なのかもしれない。 売ると言う行為は、非常に深く重いものであることも分かって来る。

売る人は、自信と誇りをもって商品を伝える

それらは、きっと自立した人である、意思をもつことにつながる。 今の売り場に意思なるものを感じられるだろうか。そこに人がいると感じられるだろうか。 「『お客様は神様』という時代はもう終わった、と僕は思っています。 もしも、D&Dで自分が神様だと思っているお客さんがいたら、それは違うとはっきり言うしかありません。 お客さんが間違っていると思ったら叱るし、それが失礼だと言われたら、ここはそういうお店だから 来ていただかなくて結構ですと言います。僕らはそういう意識でお店をやっていますし、そういう意識の お店が増えないと日本の生活水準は変わらないのではないでしょうか。」 自分で伝えることができないゆえに、売る人はお客さんに媚びへつらうように成り下がってしまっている。 それが、安売りに表れているうようにも感じる。 本来は、売る人の方がプロであれば、一段と高い立場にあるはず。 もちろん謙虚に振る舞う必要はあるが、自信と誇りをもって商品を伝えなければならない。 「ものを売る立場の僕らも、その時代の毅然とした態度を学ぶべきだと思う。 それが、今の時代にコミュニティー重視の『伝える店』を持つ僕らの役目だと思っています。」 毅然とした態度にこそ、意思をもつ店を思い浮かべることができる。 フライパン倶楽部もそんな店を、賢明にも懸命に目指して行きたい。

そして、冒頭の物語で、フライパン倶楽部を通じてフライパンを伝えた場合を想像する。 わが子のように愛情をもってフライパンを丁寧に使いこなしている。 さらに、フライパンを作った人に美味しい料理を振る舞って、ひとりごとが聞こえて来る。 「こんな素晴らしいフライパンを誰が作ったんだろう?」「・・・・・」そんな物語を、売る私たちが作って行きたい。