料理道具専門店 フライパン倶楽部

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代表者のエッセイ

2012年4月13日

日本でのアウトレットを考える

本日、千葉県木更津市にアウトレットがオープン。 アウトレット(outlet)とは、不思議な言葉ですが、もともとは工場から出てきたもの、 ファクトリー・アウトレットに由来します。 そして、出て来たものとは、良品ではなく実用上は問題のない欠陥品を指しています。 そこから転じて、メーカー(特に高級ブランド品を扱うメーカー)が一同に集まって、 これらのいわゆる処分品や訳あり品等を低価格で販売するところをアウトレットモールと呼んでいます。 ですから、正規な品を正規な価格で販売するところではありません。 しかし、この時代の価格競争の荒波にのまれて、 アウトレットでの販売が主となって、正規販売が従となってしまう状況を危惧いたします。 その状況は、価格競争に拍車がかかり、ますますデフレは進行してしまう。 このようなアウトレットが国内に幾つも存在すること自体おおいに疑問ですが、正規な品までも安売りされてはなりません。 そのような売り方は、長い目で見れば、小売店もメーカーも立ち行かなくなります。

正規な品が正規な価格で販売されてこそ、健全な繁栄がある

正規な品を正規な価格で売ることが、小売店もメーカーも末永く存続できる本道です。 それは、わが国の先人であった近江商人の三方よしにもあるように、日本社会が継承して来た本来の商売でもありました。 買い手よしだけではなく、売り手よし、そして世間もよし。 かたや、このアウトレットのスタイルは、もともとはアメリカ合衆国に起源があり、日本社会にはそぐわない違和感を個人的には感じます。 アウトレットの本来のあり方も、あくまでも、正規な商品を正規な価格で売ることを 最終目的としたものであるべきで、格安で売ること自体を主目的にしてはならないのです。 しかし、このような時代に、正規な価格で売れないと、アウトレットに流せば良いと安易な方向にも流れます。 そして、消費者もアウトレットで買う事が常習化して、正規な品が正規な価格で売れなくなる。 そうなってしまえば、それは悪循環、泥沼に陥っているのです。 一時的に売上はあっても、確実にブランド価値は落ちています。 この点でアウトレットそのものが繁栄することは、メーカーや小売店を破滅させてしまう危うさも持ち合わせている。 正規な品が正規な価格で販売されてこそ、健全な繁栄があるのです。 このことを忘れてはなりません。

専門店とは安く売る店ではなく、専門性を深める店である

しかし、正規な品を正規な価格で販売する百貨店や専門店が疲弊しています。 当社も属する愛知県豊橋市の駅前商店街もご多分に漏れません。 そこで、われら商店街には明日があるのか。 今日の価格競争が進行して行けば行くほど、自分たちの首を絞めることになります。 利益が薄くなれば、必然と商店を経営していくことができなくなる。 そこで、どうしたら価格競争に歯止めをかけることができるのか。 ひとつには、価格ではなく、他の点で魅力をもつことです。 専門店であれば、その名のごとく専門店になることでしょう。 この専門性を深めることが手掛かりです。 当社の場合であれば、家庭用品という業界に位置しますので、家庭用品の専門店とも言えます。 しかし、家庭用品では広すぎるのです。 その中で、料理道具に特化しています。それでも広すぎるのです。 そこで、通信販売では、フライパン倶楽部として、フライパンに特化しています。 基本的には、フライパン倶楽部は、家庭用フライパンの専門店とも言えます。 当社の魅力は、決して価格にはありません。 このフライパンに関する商品知識を深めます。 それは、フライパンの調理に関する知識を深めることにも及びます。 次に、数あるフライパンの中から、お勧めできるフライパンを独自に選択します。 そして、自分の言葉でフライパンを語ります。 フライパンに関しては、どこにも負けない店になることが、フライパン倶楽部の立ち位置になります。

自分らしい店が集う商店街は、アウトレットよりも魅力がある

これからの小売業、特に商店街に属する個人商店は、お料理と同じで、 自分の味、すなわち自分をしっかり持つことが求められます。 その分野では、誰にも負けない意気込みの知識をもち、自分の言葉で語れるようになることです。 そこにこそ、顧客に媚びない、自信と誇りに満ちた本来の商売人の姿があると思います。 そのためには、徹底的に勉強することが求めれます。 そこで、まず自分とは何かを問いかける。 すなわち、自分の店の存在理由を考えます。 加えて、歴史のある店であれば、創業者はどのような思いをもってその店を始めたのか。 創業の原点にも立ち返る。 自分の店の歴史を知ることは、本来の自分が見えて来ることでしょう。 そして、自分のある店が集う商店街であれば、アウトレットよりも魅力が表れるでしょう。 商売人の皆さん、本来の自分らしい店づくりを目指しましょう。 消費者の皆さん、そんな地域のお店を大切にして下さい。 そこにこそ、明日の明るい日本、明るい地域社会を垣間見ることができます。