インターネット販売が定着してデフレ社会が進行する今日は、ますます価格競争が加速している様相です。 しかし、価格競争が行き過ぎれば、販売店の利益は必然と薄くなり、販売店が破綻する恐れも生じます。 それは、一時的に売上が上がり、消費者が喜んでいるので誤解しやすいのですが、 実は販売店同士がお互いの身を傷つけ、身を削っている深刻な事態であるとも言えます。 その行く末は、もはや後戻りができず、販売店が共倒れともなりかねません。 利益がなければ、サービスを維持できません。 明日への投資ができません。 そこに質的な発展成長はありません。 利益がなくなる状態は、業界全体まで縮小して疲弊している病的な状態なのです。
本来の健全な競争は、会社を長期的に運営維持して行くための利益を確保するという前提があり、 その点での将来への見通しと節度が求められています。 将来への見通しと節度なき価格競争は、その会社を破綻に至らしめるのです。 あくまで、会社が長期的に経営できる前提での競争でなければなりません。 その点では、競争を否定するのではなく、健全な競争と、行き過ぎた競争を峻別すべきです。 健全な競争であれば、販売店にも、メーカーにも利益は確保されます。 消費者のみならず、販売店、メーカーの三者ともどもに潤います。 それが商売の本道です。 どこかに利益が偏ってはならず、三者の調和がとれるところ、 そこに適正な販売価格があると考えます。
まず、メーカーと販売店は自社の販売姿勢を確立することです。 そして、その販売姿勢をメーカーと販売店が互いに共有します。 そのために、取引契約を結びます。 その契約の内容は、専門性の高い良質な商品やブランド商品を扱う当業界では、サービスの質が重要な要素となります。 そこで、商品知識を高めることに努めて、正確で明快な商品情報を提示すること等を旨とします。 もちろん、メーカーは販売店に販売価格を強制する事はできませんが、 その前提にある取引契約を互いに順守する義務はあるのです。 ですから、行き過ぎた価格競争を許容してしまう原因は、販売姿勢が曖昧なことと、 販売姿勢を共有できていないことにあると考えます。
さらに、取引契約を順守するためには、メーカーと販売店の誠実さが求められています。 実は、商品の取引とは、あるいは商売とは、メーカーと販売店の互いを信じる、信頼関係の上に成立しているとも言えるでしょう。 それは、結婚の契約にも通じます。 突き詰めて行けば、メーカーと販売店の責任者、すなわち商売人のモラルと生き様が問われているのです。 誇り高く、志高く商売をすること。 このような商売の本道を真直ぐに進んで行ける業界は安泰でしょう。 その結果は、行き過ぎた価格競争は行われず、 業界全体が繁栄し続けて、価値ある商品を提供し続けることができるでしょう。 そこにこそ、本当の消費者利益があると考えます。