秋の爽やかな風が吹いて参りました。 夏休みも終わり、いよいよお料理作りも本格的に取り組める好機到来です。 ちょうど、実りの秋を迎えて、新米も店先に並んでいます。 そこで、新しいメニューに挑戦と言うよりも、まず美味しいご飯をお鍋で炊いてみる。 日本人には、美味しいご飯こそ、最高のご馳走とも言えます。 しかも、自分で炊いたご飯には、愛情もいっぱい詰まることでしょう。 そのためか、味わいや美味しさが違って来ます。 そして、そこには、お料理の楽しさも秘められていると思います。 それは、お料理の原則とも言える、自分で考えて自分で判断する過程を踏むからです。
スイッチ一つで炊けてしまえば、自分で考えることも自分で判断する必要もありません。 すなわち、それは他人任せ。ここでは機械任せでしょうか。 自分で考えて自分で判断することは、人間の根源的な営みであり、人間が人間であること、 自分が自分であること、すなわち自分の存在価値や存在意義が表出します。 それを生きがいと表現できるかもしれません。 それは、一見大変そうなことに見えますが、実は楽しいとも表現できます。 デカルトの「われ考えるゆえに、われあり」とパスカルの「人間は考える葦である」という言葉を 自分で炊いた新米と同様に深く噛みしめてみたいものです。
さて、フライパン倶楽部では、炊飯鍋としては、主に 文化鍋を推奨することが多かったのですが、 あわせて今日は、宮崎製作所のライスポットをご提案いたします。 文化鍋は、電磁調理器(IH)では使用できません。 そこで、電磁調理器(IH)でも炊けて、文化鍋と同じ特徴をもつお鍋が、このライスポットです。 外観の輝きも文化鍋に近い印象で、同じように比較的軽くて、吹きこぼれにくい構造です。 文化鍋と同様で、鍋蓋が本体に入り込むようになっています。
また、Sタイプの蓋はTタイプよりも重量のあることが、炊飯鍋として相応しい要素とも言えます。 保温性が良くなり、鍋内の温度を保ち、吹きこぼれの防止にもなります。 この点では、かまどでご飯を炊いていた当時の羽釜(はねがま)を思い浮かべて下さい。 木製の厚みのある蓋は、金属のように放熱することなく断熱材のように働いて鍋内の温度を保ちます。 そして、その重みの圧力で、吹きこぼれにくくなっている。 Sタイプの蓋は、この蓋と同じような理屈となります。 本体は、十得鍋と同様に、持ち手部分も一枚板となっていますので、汚れの溜まるところがなくお手入れも楽です。 故障するところはありませんので、末永くご利用いただけます。 蓋のつまみは、ゴム素材でつかみやすく、U字型の形状でしゃもじ等を置くことも可能です。 そのまま保存しておく点では、チタン素材のTタイプの方が優っているかもしれませんが、 炊き上がり面では大きな違いはないと思います。 その点では、大変お値打ちです。
自分で考えて自分で判断すると聞くと、難しくとらえてしまいがちですが、 炊き方は至って簡単とも言えます。 洗米して30〜1時間ほど浸けてから、火にかけます。 沸騰するまでは強火で、その後は弱火で約10分。 火からおろして、15分蒸らして出来上がりです。 これはあくまで目安ですので、ここからがご自分の味を求めて、 自分で考えて自分で判断するところでもあります。 炊き上がったご飯を、ご自分の舌と鼻で味わいながら、炊飯を検証します。 それを次に生かします。
このように試行錯誤を重ねて、水加減、火加減、火にかける時間をつかんで行きます。 幸いにも、お料理作りは毎日続きますので、試行して思考できるようになっているのです。 そして、この美味しさをつかめたら、これをベースとして、他の料理にも広がって行くことでしょう。 なお、ステンレスの厚手タイプのお鍋も炊飯は得意とするところですので、 十得鍋やクリステル鍋もおすすめできます。 それでも、吹きこぼれにくい面ではライスポットはおすすめで、 専用鍋があればお鍋炊飯の覚悟も定まります。 加えて、付属されるクッキングブックは、保存しておきたいほどの冊子で 炊飯方法はもちろん、美味しく炊く情報が詰まっています。 この季節、作りも丁寧な日本製のお鍋で、自分らしい味を究めてみませんか。