料理道具専門店 フライパン倶楽部

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道具選びの眼

2010年6月3日

日本人に相応しいお鍋

東京合羽橋(かっぱばし)の「お鍋の博物館」は、中尾アルミさんのお店です。 浅草界隈にお出掛けの際は、是非のぞいてみて下さい。 当社でも、中尾さんのゆきひら鍋フライパンは根強い人気を保っています。 一時、百貨店筋の問屋さんが中尾さんと取引を止めてしまい、中尾さんの商品が入らなくなりました。 当社ではすかさず、新たなルートを中尾さんに教えていただいて販売再開。 中尾さんの商品は、それほど魅力があるのです。 中尾さんは、もともと厳しい料理職人の目に耐えうる物づくりをされています。 すなわち、職人世界で認められた道具は、家庭でも美味しく調理ができるのです。 先日、お鍋の博物館を訪れて、改めて見直したお鍋をご紹介いたします。 それは、中尾アルミ打出料理鍋。 鍋底に丸みがあり、上に向かって末広がりになり、横に長い形状です。 昔ながらの和風鍋です。 打ち出すことによって、槌目模様が美しいですが、硬く丈夫になります。 しかも、表面積が広がるので、熱がより入りやすくなります。

いつしか、日本人のお料理がイメージ先行で洋風化しますと、 お鍋までもイメージ先行で洋風化してしまっているようです。 家庭用のお鍋のブランドと言えば、ビタクラフト、フィスラー、クリステル、ティファールなどなど。 百貨店の品揃えに偏りがあるかもしれませんが、どれも欧米メーカーばかりで、 中尾さんのような国産品が忘れられているようです。 良いお鍋=欧米ブランドの鍋というイメージがつきまといます。 ところが、幸いにも、職人世界では、中尾さんをはじめ、日本ブランドがしっかりと認知されています。 そこで、考えてみたいのが、毎日どのようなお料理を作っているのか。 洋食を中心に作っているのであれば、洋風のお鍋でも良いでしょう。 しかし、日本人であれば、やはり和食中心の方が多いでしょう。 さらに、和食を作りたいと願っている方も増えています。 地産地消が見直されていますが、それは食材だけではなく、道具やお鍋にも通じると思うのです。 その土地で作られたお鍋こそ、その土地の料理のことを一番意識して作られている。

和食を考えた時も、昔ながらの日本のお鍋こそ一番使いやすく理にかなっている。 そこで、お鍋の博物館の店長さんもコメントしていました。 「日本は昔からお米を炊くという文化があったので、先人たちは対流について 色々考えた結果、釜のように鍋底の丸いものが多いのではと思っております。」 ご飯を炊くことこそ、和食の基本なのでしょう。 この鍋底にこそ、欧米と日本のお鍋の違いが見えてきます。 欧米のお鍋は、鍋底が角ばっている、寸胴型のものが多い。 かたや、日本のお鍋は、鍋底に丸みがある。 角ばっていれば、鍋底の表面積は広くなるメリットはあります。 丸みがあると、鍋内の水が対流しやすくなり、鍋側面にも熱を伝えやすくなります。 その結果、鍋内の温度をより均一にして、温度むらが少なくなる。 しかも、縁の汚れなど、さっと落としやすい。お玉も撹拌しやすい。 これらの由来は、コンロと関連があるかもしれません。 欧米では電気のコンロ、日本ではガスが主です。この料理鍋もIH(電磁調理器)には対応していません。

この構造は、ご飯だけでなく、茹で物にも良いでしょう。 熱伝導の良いアルミ製なので、茹であがるまでの時間が早い。 釜あげうどんという名前から類推して、本来うどんは釜で茹でるものかもしれません。 お鍋の博物館でも、蕎麦(そば)茹でに、この料理鍋が選ばれるそうです。 お釜ほどの丸みはありませんが、それに近いということが理由のようです。 ならば、麺類の茹で物には重宝です。そこで、パスタ鍋を考えます。 パスタはもともとイタリア発ですから、パスタ鍋などは、典型的な洋風スタイルの角ばったお鍋となります。 それは、深みがあるので、お水がたっぷり入って、くっつきを少なくする要素があるゆえでしょうか。 しかし、料理鍋も、パスタ鍋の縦長に対して、横長にはなりますので、容量たっぷりの点では同じです。 しかも、横長であることは、パスタを寝かせれば、最初からすべて漬かりますので、硬さにむらも出にくいでしょう。 また、縦長よりも横長の方が、熱源にあたる部分が広くなるので、鍋全体の熱効率も良いでしょう。 雰囲気はでませんが、もしかしたら、料理鍋の方が、パスタにも相応しいかもしれません。 お手入れの面でも、個人的には、縦長よりも横長の方が洗いやすいと感じます。

さらに、吹きこぼれにくい構造になっています。 段付きですから、文化鍋のように蓋をやや中に入れ込みます。 そのため、蓋より上にもスペースと言いますか、少し高さ(2〜3cm)があるので、吹きこぼれを防止になります。 茹であがりの早さの点では 千寿鍋のようなアルミ製の薄手の方がより良いでしょう。 ただ、薄手であることは、煮物などが焦げ付きやすい。 そこで、この料理鍋でしたら板厚が2mmあるので、煮物にもより対応します。 ちなみに、錦鍋は0.7mm。しかし、アルミ製であれば、2mmでも軽くて扱いやすいのです。 その意味では、バランスのとれた厚みとも言えるでしょう。 かたや、ルクルーゼやステンレス多層の厚手のお鍋ですと、お湯が沸くまでに時間がかかります。 しかも、茹で物に対応する大きめサイズになれば、重くなるため、ついつい敬遠してしまう。 ところが、こちらのアルミの料理鍋は、大きいのに軽い。 また、料理という言葉をもつ日本人。 料とは計るを意味します。このお鍋内側には、メジャー目盛が刻印されています。

加えて、この料理鍋で、昔ながらの蒸し物ができます。 木製セイロを使った本格的な蒸し物です。 木製ですと、適度に水分を吸収してくれるので、 金属とは違い、水っぽくならず仕上がりが良くなるでしょう。 ところが、セイロを載せる鍋が、意外とみつからない。 セットで販売されている鍋は、結構簡単な作りのものが多い。 そこで、アルミ製穴明きプレートという道具を、この料理鍋に置けば、 セイロを安定良く載せることができるのです。 ただ、セイロのサイズはひとまわり小さいものとなりますのでご注意下さい。 そのままセイロを食卓に出しても、雰囲気がでますね。 昨今アフリカ生まれのタジン鍋が話題となっています。 もともと、タジンは、水の少ない地方で出来たお鍋です。いかに水を使わず調理ができるか。 しかし、日本は、水が豊富にある土地柄です。なぜ、タジンなのだろう。 その風土に感謝して、たっぷりの水を使って蒸すことの方が自然でしょう。 日本人なら、タジンよりも、セイロの魅力に気付きたいところです。

ヒノキ中華セイロ27pとなります。料理鍋にアルミ製穴明きプレートをセットすれば、お役立ていただけます。

フライパンで焼く、炒める、揚げる。 それ以外の茹でる、煮る、蒸すをこの料理鍋でまかなえます。 和の料理を丁寧に調理する上では、本来このようなお鍋こそ求められています。 核家族は、お料理作りの少量化を招いています。 それがお鍋にも反映して、大きい鍋よりも小さい鍋が主となっています。 置き場所の問題もあるのかもしれませんが、比較的大きめの鍋が家庭から消えてしまっています。 それは、かえってお料理の効率を悪くしているようにも感じます。 少人数でも、多めに作って作り置きしたり、保存したりすれば良いのです。 出来たては一番ですが、その都度作るほど効率の悪い事はありません。 しかも、お料理は、多めに作った方が美味しい。 それは、水や油の量が多いほど、一旦温まれば温度を一定に保つからです。 たっぷりのお湯で茹でれば、やはり麺類は美味しく仕上がります。 タケノコやトウモロコシなども敬遠せずに、手軽に茹でることができます。 そして、蒸し料理の本道、セイロ料理まで楽しめます。 和食を大切にする日本人にとって、今見直されるべきは、この料理鍋だと思います。

アルミ製穴明きプレートです。セイロを料理鍋にセットするための穴明きの円板です。 なお、業務用筋のアルミ製商品で、少し傷が入った状態となります。 ご了承下さいませ。

ヒノキ中華セイロは作りがしっかりしています。 蓋のつまみ、蓋の編み込み、曲げわっぱの作り、身の受け台の作り、 どれも安心感のある作りとなっています。