
ポカポカと温かな日差し、色とりどりの花々、小鳥たちのさえずり、土の薫りを含んだ風・・・
そして、食卓に並ぶお料理を通じて、春を感じることができます。
そこには、生きる喜びが凝縮されているようです。
お料理と同じで、春も五感で感じるものなのでしょう。
もしかしたら、お料理道具も同じではないか。
それは、秋田大館工芸社の曲げわっぱのおひつを眺めて思いました。
手で触れてみると、優しい感触がありますが、これは樹脂や金属素材のものとは違う。
そして、鼻先にあてると、ほんのりと木の薫りが漂います。
蓋をしめた時の「パカッ」と響く音も、優しげで、それは他の素材にはないもの。
もちろん、見た目にも、木目は美しく、杉の木を曲げて桜の皮で止めてある作りも趣があります。
しかも、ここにご飯が入ると、ごはんは故郷に帰ったような表情となります。
木が適度に蒸気を吸い込み、べとつかず美味しいご飯をいただけます。

一人暮らしの自炊で、
お鍋で炊飯することを
おすすめいたしましたが、
このような道具を使えば、お料理の感性が自然と磨かれることでしょう。
また、お手入れを怠れば、カビなどを発生させてしまいますので、
しっかりとお手入れする習慣が身に付くとも言えるでしょう。
かえって、便利なものを使うことで、お手入れを怠り、
道具を正しく扱えなくなっているようにも思います。
はじめての道具を通じて、きちんと道具との向きあい方が確立されれば、
それはきっと正しく生きて行くことにもつながるように思われます。
高額な電気炊飯器を購入することを思えば、その見返りは大きいように思います。
その点で、発想を転換して、この時代は昔ながらの道具から
教えていただく必要があるのでしょう。
それは、一人暮らしをはじめる子供と言うよりも、大人からはじめることのように思います。
子供は大人の暮らし方を自然に学んで行くのだと思います。

「曲げわっぱのおひつ」は朝のスタッフで掲載後、好評につき、定番品としてこちらのページでご紹介しております。